やる夫まとめもZ 【R-18】やる夫と蒼星石は吸血鬼と戦うようです　第08話　悪夢

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2011/06/16(Thu) 18:06

610 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:02:49 ID:p.6oOeto [4/114]

◆◇◆◇◆　◇◆◇◆◇　◆◇◆◇◆　◇◆◇◆◇　◆◇◆◇◆　◇◆◇◆◇　◆◇◆◇◆

　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫と蒼星石は吸血鬼と戦うようです

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611 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:03:05 ID:p.6oOeto [5/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～　Epi.8　悪夢　～

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612 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:03:47 ID:p.6oOeto [6/114]

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　　2016年12月17日　13：54
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　　　【　七王子市役所　】

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614 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:05:02 ID:p.6oOeto [7/114]

【　１Ｆ　窓口センター】

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　　　 | 　／／　　　|　从从＿＿＿＿＿＿＿＿|　　　　| ========== |　　　|　 |: : |: :
　　　 | 　　　　　　 |　ﾊｖＶｖ　　　　　　　　　　　| ========== |　　　|　 |: : |: :
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615 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:05:23 ID:p.6oOeto [8/114]

　　　　　　　＿__　　　＿__
　　　　　　　＞　｀＞'´　＜
　　　　　／　　　　.::.　x=､＼__
　　＿／／三≧==＜ヽヘ　　｀＞
　　 7　／´　　　　　＼ﾍ｀｀＼　',
　　 /i /　　　　　　　　　｀ｨ　　　ヽ}
　　/　f　　ｨ　i　　　　ヽ　　　ヽヽ＼
　 ,'　 |　　/　 j　.:｛{　r:::.{ ヽ|　 .:! .:ﾄ　ｌ
. /ｌ　|　斗ｌｰ八 .::: V -┼ト ! :::::|::::|∨
/´| .:::|　 ::!∠_ 厶:::::ヽ ⊥j厶|::::::,'::::j
　 | :八　::|t（ ●）`＼|（●） /:::/::::|
　 | l ハ从　　　　　　　／:::∧ﾘ
　 V＼:∨介ﾄ､ _ －_　イ个Ｖ/　
　　　　 /∧}:}ヽi ﾖ｀ﾋケj/{:{
.　　　　　ィ'`ヾ =-=‐ィ'/｀ヽ
　　　　 /｀Y´∥¨::¨∥　Y´}

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「お待たせしました、萩野さん。

　ご請求なさっていた住民票の写しはこちらで間違いないか、ご確認ください」

　　と、市役所の事務員さんが、やる夫に厚めの紙を手渡してくれたお。

　　請求したのは久坂家の住民票だお。

　　あまり大したことは書いてないだろうけど、これで久坂家の略歴程度はわかるはずだお。
　　本格的に久坂家のことを調べる前に、ざっとアウトラインをなぞるってわけだお。

　　それに、もしもややこしい事情があるなら、少しくらいはその痕跡が残ってるかも
　しれないお。

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616 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:05:38 ID:p.6oOeto [9/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「ええと……」

　　ざっと読んで確認する。書類の読み方はよくわからないけど、久坂誠、やらない夫、
　蒼星石の名前があるからたぶんあってるお。

　（よし、上手くいったお）

　　安堵する。個人情報保護法があるから普通は他所の家の住民票は取れないはず
　なんだけど、退魔師は業務に関係する（ということにした）なら取れるらしいんだお。

　　そういうあたりのことは全然知らなかったけど、この程度の手続きならネットで
　簡単に調べられるのだから、いい時代だお。

　「はい、これで結構ですお。ありがとうございましたお」

　　お礼を言って、やる夫は並んでいる次の人に場所を譲ったお。

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617 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:05:48 ID:p.6oOeto [10/114]

　　　　　＿＿＿,,＿,_,,._...、　､､､､､､　 --- ―――┐
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　　　　　　.|　　＿＿＿＿　住民票　　　　　　　　 |　　　ペラ……
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　　　 ::　: : |　　　　　　　　　　＿＿,,＿,_,,._..、､､　 |　
　　　　.::.: |　　 '''' ""ﾞ ´´￣￣　　　　　　　　　　　　 .|
　　　　 :. ::..|　　　　　　　　　　　　　　　＿,,＿,_,, _、､､　|　　
　　　　　 .: : |　　 '''''_""ﾞ_´´ ＿￣_ ＿,.＿,.,, 、,､､ -z- =-'、
　　　:　　　　ﾞ、"`｀""´´￣￣　　￣＿＿,,＿,_,,._..､､､､　　ﾞ、
　　:: 　　　　ﾞ、　　'''' ""ﾞ ´´￣￣　　　　　　　　　　　　　ﾞ、
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　　　　　:: 　　 .　　　ﾞ、　　　　　　　　　＿,,._,,.　、､､､､､　--――''`
　　　　　　　:::: 　 `''''　""､´´::￣￣

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　近くの机を使って、住民票を見る。

　　が。

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618 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:06:12 ID:p.6oOeto [11/114]

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　　　　　　 l　　　　.　　　（　　　　人　　　 .）　　.l
　　　　　　 .'.,　　　　　　　｀ｰ一 ´　｀ｰ‐ ´ 　　 .,'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「…………なにこれ」

　　ざっと読んだ後、思わず首をかしげてしまったお。

　　おかしな点がなかったんじゃないお。

　　凄くおかしな点が、二つもあったんだお。

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619 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:06:41 ID:p.6oOeto [12/114]

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　　　　　　　　 , '　　　＿＿＿　　　　＿＿ .ヽ　　　　？？？？？
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　　　　　.　.,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.l
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　　　　　　　　ゝ、　　　　　　　　　　　　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　まず、母親が『不明』になってたお。
　　誰かわかりませんってことらしいお。

　　もしかして養子なのか、と思ったら、やらない夫と蒼星石はちゃんと『実子』に
　なっていたお。

　（……父親がわからない、ということならまだしも……、実子で母親がわからないって、
　どういうことだお？）

　　複数の男性と関係を持っているから父親が誰かわからない、ということなら
　ありえるだろうけど、出産するプロセスがあるんだから母親が誰かは確実に
　わかるはずだお。

　　それが不明って、どんな状況だお？

　　ってか、よくこんなの受理してもらえたお。

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620 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:07:00 ID:p.6oOeto [13/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　しかも、父親の久坂誠が生きてることになってるお。

　　よく読むと、備考欄に、久坂誠は４年前から行方不明になっている旨、
　特記されていたお。
　　まあ、４年も行方不明ならやらない夫や蒼星石から死亡扱いにされても不思議は
　ないけど……初耳だお。

　　『数年前に死んだ』じゃなくて、『４年前に行方不明になった』が正しかったらしいお。

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621 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:07:56 ID:p.6oOeto [14/114]

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　　　　　　 ,. -'"´　　　　　　｀¨ｰ､
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　　 l　 ( 乂ｿ　ﾉ　　　ヾ＝=ﾂ　　　 l
　　　.',　　　　,　　　　　ヽ　lilil　u 　 /
　　　＼　　 l　　人＿,/l 　　　　／｀ヽ
　　　/ 　｀ー､｀ｰ´ 二二ノ　　　‐'　　　　',.
　　./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（……これは……また）

　　母親は不明で、父親は行方不明とは。

　　それも、たぶん久坂誠は蒸発したんだと思うお。事故にあったとかで
　行方不明になったなら、たしか１年で死亡扱いになるはずだお。

　　蒼星石とやらない夫は、ずいぶん複雑な家庭の事情を抱えていたんだお。

　　……見ちゃいけないものを見た気がするお。

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622 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:08:15 ID:p.6oOeto [15/114]

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　　!　　　　　　　　　　＞一　､:::::::::::::::::::::: !
　　 !　　　　∪　　／__≦二_ ＼::::::::::::::::!
　　＼　　　_ 斗≦ ´　--　　_`ｰヽ::::::::::/
　　　　＞ ´　　　　　　　　　　　　｀ミ丶､
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　 |　　　　ヽ-―　　 ¨¨¨¨¨¨ 丁　丁¨¨　 ‐-ヽﾊ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　おまけにこれ、やらない夫が退魔師の力を隠す理由にも、繋がる気がしないお。

　（もしかして自分、退魔師の権限を使って蒼星石たちのプライバシーをのぞき見
　しただけかお？）

　　あ、なんか罪悪感がひしひしと。

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623 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:08:37 ID:p.6oOeto [16/114]

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624 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:09:03 ID:p.6oOeto [17/114]

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　　2016年12月17日　14：30
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　　　　　【　川岸　】

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　 | `ー'ー'ー'ー'ー'ー'┬' .|　　　/___;i___i_;ヽ　　　　　　ｨ'＿＿＿＿＿＿＿＿;;ｲ､_,
　 |　　/ /　　||　　　　 |　 | 　 :./　　　　　　　　　 | i:':':':':':':':':':':':':':':':':':':i:
　 |　　　　　 ||　　　　 |　 |:　 /　　　　　　　　　　　 | ﾄ ‐　‐　‐　‐　‐　‐l:
　 |　　　　　 ||　　　　 |　 |:: /　　　　　　　　 _　__i ,__!_ | l－－－－－－－|::
　 |　　　　　 ||　　　　 |＿l:./　　　　　　　 /___;i___i_;__ヽ|－－－－－－－l::.　 ::......
￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

tttttttttttttttttttttttttttttttttttttt　　　　　　　　　　　　tttttttttttttttttttttttttttttt
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i二二二二二二二二!
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 i二二二二二二二二!
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ノゝ~~ ノゝノゞ　~~　ノゞノゝ　~~ノゞノゝ　~~　ノゞゝ~ ~~ノゝノゞ　~~ノゝ~ﾉゞノゝ　~~　ノゝﾉゞ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　一人、帰り道の川岸を歩く。

　　いつも思うけど、潰れた店が並んでいて、まるでシャッター街のような寂しさの
　ある場所だお。

　　お昼は散歩する人や買い物に行く人が行き交うからまだマシだけど、夜はほとんど
　廃墟みたいになってるんじゃなかろうか。

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625 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:09:18 ID:p.6oOeto [18/114]

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　　　　　　／　　─　　 ─＼
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　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　 ,／
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　　　　　　　 i　　　　　＼　::::/
　　　　　　　　＼　　　　|::／
　　　　　　　　　 |＼＿／/
　　　　　　　　　＼＿／

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（いやー、藪蛇だったお……）

　　歩きながら、そんなことを考える。

　　いやまあ、相手の家のことを調べることは、プライバシーに踏み込むこと、なわけ
　だけど、それにしたって、あんなキツい家庭の事情を知ってしまうとは思わなかったお。

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626 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:09:40 ID:p.6oOeto [19/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　 :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　.:|
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　...::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_, - ''"￣￣`ヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　′‐　　　/ 　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　〉　　　 ,′　　ヽ ,
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 i　　　ヽ　/|
　　　　　　　　　　　　　 /V/,＼ヽ |　＼　∨ |
　　　　　　　　　　 /｀ヾ/////!　　　ヽ | 　!
　　　　　　　　　　　 /　 ∨///Ⅵi＼ヽ　　〈　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 { 　　Ⅶ///|iｌ　　　　｀ヽ!　|
　　　　　　　　　　 | 　　 ∨///|ヽ　　　　　丶＼
　　　　　　　　　　　　　 |　　　∨///＼　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　 |　　　∨/////ﾍ　　　　　　＼〈
　　　　　　　　　　 |　　　｀ヽi丶///＼　　　　　　}　}
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　ヘ//////＼　　　∧　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　///////ヾ　ｰ　Ⅳ　ヾ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　//////////／　　|　　ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼////////／　　　! 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 )/////／｀ヽ丿　　　　　　 !
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　　　　　　　　　　　　　　 /,　　　　　　　　　 ∨
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（それにしても、久坂誠が４年前に失踪ということは……やらない夫が１７か８
　くらいの頃かお。

　そんなころからやらない夫は蒼星石を抱えながら今まで生きてきたんだお）

　　あまり深く考えて来なかったけど、思えばやらない夫も苦労したんだお。

　　……と。

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627 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:09:57 ID:p.6oOeto [20/114]

　　　／￣￣＼
　／ _ノ　ヽ､_ ＼
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.　|　　（__人__）　│
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　　ヽ　　　　 /
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　　 |　　　　 |

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「おっ？」

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628 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:10:12 ID:p.6oOeto [21/114]

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　　　　／　し（○）　（○）＼
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　　　　＼　　u　　｀⌒´　　／

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「え。」

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629 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:10:31 ID:p.6oOeto [22/114]

　　　　,ｒｎ　　／￣￣＼
　　　r｢l l h. ／　ノ　ヽ　＼
　　　|　､. !j |　（ ●）（●）　|
　　　ゝ　.f,　| 　（__人__）　 |
　　　|　　|　 |　　｀ ⌒ ´　 |
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　　ヾー‐'|　ヽ　　　　/
　　　|　　　じ_,,ゝ　　　 (,_
　　　＼　　　´ `ー-一´｀ヽ
　　　　＼　　　　　　　　 ,　|
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　　　　　│　　　　　　 l_　|
　　　　　│　　　　　　 |'　}
　　　　　＼　ー─‐一ヾ/
　　　　　　 |　　　 ij　　ﾉ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「おう……。こんなところで会うのは珍しいな。

　散歩でもしてたのか？
　俺はいつも行ってるスーパーに買い物へいく途中なんだが」

　　……当のその本人が、向こうから歩いて来てしまったお。

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630 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:11:05 ID:p.6oOeto [23/114]

　　　　　　　　　　　　　　　 _　-－― - ､
　　　　　　　　　　　　　_,__'´　　＼　　 `ヽ、
　　　　　　　　　　　　(´ 　,)　　(´￣｀)　　u　ヽ
　　　　　　　　　　　　/￣　　　　￣￣　　　　　 i
　　　　　　　　　　 ,' l､＿人　　ﾉ　 u　　　　　 l
　　　　　　　　　 i 　　ｌ .ｌ￣　 ,　　　　u　　l
　　　　　　　　　　ヽ　　l l　　 /　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　`.l､_ノ__　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 `l 　　　　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　_＿／　　　　 _/　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　 `ヽ､_／l　　＜＿／　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `l　　　_,- 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 /　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ .／ヽ､〈

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（ヤッベーお……）

　　もっとも会いたくないときに出会ってしまったお。

　　まさか正直に『やらない夫の正体が気になったから久坂家の住民票を請求して
　来たところだお』、とは言えないお。

　「そ、そうだお。天気も良いし」

　　とっさに嘘をついたけど、どもってたお。

　　落ちつくお自分。
　　自分から言わなきゃバレるはずないお。

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631 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:11:44 ID:p.6oOeto [24/114]

　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　|　u 　（ ●）（●）
.　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　_.／:l ヽ　　　　　　 }
‐''"´:/::::::|_　ヽ＿　 _＿ノ::、
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::::::::::|::::::／＼ヽ　　 l::ヘ::::::::l::::::::::::ﾊ
::::::::::l／:::::::::::o:ト　.｣::-:::::＼::!::::::/::::l
:::::::::::::::::::::::::::::: l`ｰ'l:::::::::::::::::`::/::::::::l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「なんでそんなにテンパってるんだ。

　……ああ、もしかして、蒼星石か？　それならそんなに焦らなくていいだろ。

　蒼星石が退魔師を続けることは、本人もそうしたいって言ってたし、俺も
　納得してるだろ」

　　あれ。なにかおかしな理解をしたようだお。

　　だけど、ここはその勘違いに乗っておくお。

　「……それは嬉しいお。いいのかお？」

　　言われて気がついたけど、蒼星石が吸血鬼の一件で命を落としかけたんだから、
　『もう蒼星石に退魔師をやめさせる』とやらない夫なら言いだしかねないお。
　　それを、向こうから『やらない』と言ってくれるとは……？

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632 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:12:01 ID:p.6oOeto [25/114]

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ー）（ー）
.　|　u.　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ
　　 i⌒＼ ,__(‐- ､
　　 l ＼　巛ー─;＼
　　　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「うん……。俺も危ない真似はさせたくないのが本音だけどな。

　だが、むしろ蒼星石の安全を考えると、そうも行かないだろ。

　退魔師の才能に恵まれているってことは、妖怪たちにとっては霊力豊富な
　極上のエサってことでもあるからな。
　もっと退魔師としての経験を積んで、自分で自分の身を守れるようにならないと、
　アイツはいつか妖怪に食い殺されるだろ。

　今回の件だって、あの教育実習生だった吸血鬼に授業中に目をつけられていた
　からこそ、襲われたのかもしれないしな」

　　……なるほどだお。

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633 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:12:20 ID:p.6oOeto [26/114]

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　|　　　（ ⌒）（⌒）
　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　 ,|　　　　　　　 }
　　　　　／ヽ　　　　　　 }
　　　　　く　くヽ　　　　ノ
　　　　　＼　`' 　　　く
　　　　　　　ヽ、　　　 |
　　　　　　 | 　　　 |

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「そんなわけだ。

　悪いが、アイツ自身が自分の身を守れるようになるまで、お前も色々と教えて
　やって欲しいだろ。

　その……なんだ。前に殴っちまったのは、俺が悪かっただろ」

　　やらない夫は、ばつ悪げに、やる夫にぺこりと頭を下げたお。

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634 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:12:31 ID:p.6oOeto [27/114]

　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／ノ　　＼＼
　　　　　／　（●）　(●）＼
　　　　／　∪　（__人__）　　＼
　　　　|　　　　　｀ ⌒´　　　　|
　　　　＼　/⌒)⌒)⌒)　　／/⌒)⌒)⌒)
　　　　ノ　　|　/　/　/　　　(⌒) ./　/　/
　／´　　　 |　:::::::::::(⌒)　　ゝ　　::::::::::/
　|　　　　ｌ　 |　　　　　ノ　　/　　）　　/
　ヽ　　　ヽ_ヽ　　　 /' 　　/　　　／
　　ヽ＿＿　　　／　　 /　　／

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「いや、そんな頭を下げなくていいお。あれはやる夫も迂闊だったんだし。

　蒼星石に教えるのは、ちゃんとこれまで通り引き受けるお」

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635 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:12:43 ID:p.6oOeto [28/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　 _..,,ノ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　(● ) 　ﾉ
ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　/　　　|ヽ
:::::｀ヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　丶＿ / /
_,　‐､::::::￣ )　　　　　　　　　　 |￣￣ ‐ '─ !_　　　　　　　　　　　ノ ´
:::::::::::ﾚ' ￣　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::｀‐　_　　　　　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「助かるだろ。
　……じゃ、悪いが俺は買い物があるから、この辺で行くわ」

　「うん、お疲れだお」

　　そう別れの挨拶を交わす。

　　やらない夫はそのまま歩き去っていったお。

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636 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:13:02 ID:p.6oOeto [29/114]

　　　　　＿＿__
　　　　／ヽ　／＼
　　／（●）　（●）丶
　 /::⌒（__人__）⌒:::uヽ
　 l　　　 |r┬-|　　　 l
　＼　　 `ー'´　　　／
　　/　　　　　　　　ヽ
　　し､　　　　　　ﾄ､ﾉ
　　　 |　　　_　　 l
　　　 !___/´　ヽ___l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「ふー……」

　　焦ったお。まさか調べようとしてる本人と出くわすとは思わなかったお。
　会いたくない時に限って会いたくない人物と出会うのはマーフィーの法則かお？

　　でもまあ、考えてもなかった懸念が、なにもしないうちに無くなったみたいだし、
　よしとするお。

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637 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:13:19 ID:p.6oOeto [30/114]

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　　　　　　＼
／　　　　　　　　　　＼
|　　　　＼　　 ,＿　　 |
/　　ｕ　 ∩ノ ⊃―）／
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（しかし……やっぱり、やらない夫は、退魔師であることを隠さないといけないような、
　後ろ暗い奴には見えないお）

　　というか、今実際に話した限り、どこまでも普通の、いい兄ちゃんだお。後ろ姿だって
　どこにでもいる学生さんで……

　　……あ、今気がついたけど、空の買い物袋持ってるお。今はビニール袋も有料だから
　だろうけど、なんか所帯じみた姿だお。

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638 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:13:35 ID:p.6oOeto [31/114]

　　　　　＿＿__
　　　　／　　　＼
.　　　／　　　　　　　＼　　　　　うーむ
.　　／　／）　ノ ' 　ヽ､　＼
　　|　／ .ｲ '（ー）　（ー）　u|
.　　 /,'才.ﾐ).　（__人__）　／
.　　 |　≧ｼ'　　｀ ⌒´ 　＼
　／＼　ヽ　　　　　　　　　ヽ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　……ランペルージの言う『奴』はやらない夫じゃないのかお？

　　それとも、今のやらない夫の様子も演技だったりするのかお？

　　本当にわからんお。

　（もう調べるのやめようかなあ？）

　　段々面倒になってきたお。

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639 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:13:50 ID:p.6oOeto [32/114]

　　　　　　　　　　 /.:1::u　'､　　　　 ,;:　 j!　　 ,!
　　　　　　　　 _／.:::::|　1　 ;　　,r''"´`ｰ-';　　/
　　　　 ,､‐'´1　.:.:.:::!　ﾞ､　　 /　`ｰ---' ! ,!′
_,,.､-‐''"´　.:.:.::::|　 .:.:.::`､　＼　　　 ´￣　 ,/ヽ､
　　　　　.:.:.::::::::::l.:.:.:.::::::::.＼　ヽ､　_ ＿,.イ `ヽ `丶､
　　　　　 .:.:.::::::::::l.:.::.:.:.::::::::::ヽ　　　ノ/1 /.:.:.::::|　　　`ｰ､､
ﾞ､　　　　 .:.:.:.:::::|.:.:::::::::,r‐r‐ﾐ､　　 /.::l　／^i::!　　　　　ヽ
　', 　　　　　　.:.:.::l .:.:.::/ .:.::l::o::|　　　　ﾚ1::.: :ﾘ　　　 i　　 ,ハ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「おや、萩野さんじゃないかね」

　　あれ、また誰かに話しかけられたお。

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640 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:14:13 ID:p.6oOeto [33/114]

　　　　　　　　　　　　　　　 ,．- ───‐- ､
　　　　　　　　　　　　,r'´　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 /:::､　　　　　　　　　 `､
　　　　　　　　　 l;;::::::ヽ .i　　　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　 /;;;;::::::/ .:}　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　 !;;:::;;:;;:!　′ _,,,,,_　　　　　 j
　　　　　　　　　リ^ヾ!　. ''"´￣｀`　　 ‐＝=-〉
　　　　　　　　　　　 { い　　ゞ ,rｪﾃﾝ;:.　斤ｭ,,　/
　　　　　　　　　　　 _lﾊ　 i　　　'~´　　　ト,､｀` !
　　　　　　　　　　 /.:1::u　'､　　　　 ,;:　 j!　　 ,!
　　　　　　　　 _／.:::::|　1　 ;　　,r''"´`ｰ-';　　/
　　　　 ,､‐'´1　.:.:.:::!　ﾞ､　　 /　`ｰ---' ! ,!′
_,,.､-‐''"´　.:.:.::::|　 .:.:.::`､　＼　　　 ´￣　 ,/ヽ､
　　　　　.:.:.::::::::::l.:.:.:.::::::::.＼　ヽ､　_ ＿,.イ `ヽ `丶､
　　　　　 .:.:.::::::::::l.:.::.:.:.::::::::::ヽ　　　ノ/1 /.:.:.::::|　　　`ｰ､､
ﾞ､　　　　 .:.:.:.:::::|.:.:::::::::,r‐r‐ﾐ､　　 /.::l　／^i::!　　　　　ヽ
　', 　　　　　　.:.:.::l .:.:.::/ .:.::l::o::|　　　　ﾚ1::.: :ﾘ　　　 i　　 ,ハ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「会長じゃありませんかお。こんにちは」

　　以前退治した、不良在庫を増やす悪霊にとり憑かれていた会社の会長さんだったお。

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641 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:14:26 ID:p.6oOeto [34/114]

　　　　　　　[ 以前退治した、不良在庫を増やす悪霊 ]

:ｌｌi|ｔlｌ――――――――――――――――――――――───―┐
||'ﾞｌ||〕l|─――――――――――――――――――――――┐.....　|
|lIﾙﾞﾞ l|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |
|!'''ｌ川|　　　　　　　　　　　　　　　／￣＼　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |
||モコl|　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |
|lll仝 ||　　　　　　　　　　　　　　　＼＿／　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |
|| ユ ||　　　　　　　　　　　　　　　＿_|_＿　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |
|!ｌ{什|〕　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼（ ;;;;(　　　　　　　　　 |　　 |
|圭)=||　　　　　　　　　　　＃　　　_ノ ,､ヽ､_＼) ;;;;）　　　　　　　　　|　　 |
||)l]ll1l|　　　　　　　　　　／　　;;;（○）::::::（○/;;／　　　　　　　　　　|　　 |
||ｙi71l|　　　　　　　　　　|　　　　:;:, （__人__） l;;,´|　　　　　　　　　　　|　　 |
|!エlｒ'||　　　　　　　　　　＼.　 ∩　 |++++━・／　　　　　　　　　　　 |　　 |
||ｪと卅　　　　　　　　,,.....イヽ .|｜　`ー‐´ ／-､.　　　　　　　　　　　|　　 |
|!エlｒ'||　　　　　　　　:　　|　'ｆ｢| |^ﾄ、__ ノ .| ヽ　i　　　　　　　　　　　|　　 |
||ｪと卅　　　　　　　　　　　|　|:. ::　 ! }__)＼,| 　i　|　　　　　　　　　　|　　 |
|l!]i广l|　　　　　　　　　　　＞.ヽ　　,ｲハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　|　　 |
||'〒.|||─――――――――――――――――――――――┘.....　|
ﾞ'ゞlllＦ'''―――――――――――――――――――――――――┘

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　　……やらない夫とはまた別の意味で、これはマズイお。

　　この人、会長と言っても楽隠居状態で、ヒマな上に人に話を聞かせるのが好きと
　来ているから、捕まると長いんだお……。

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642 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:14:46 ID:p.6oOeto [35/114]

　　　　ペラペラペラペラ
　　　　　　　　　　　　　　,． -───-､､､　　　
　　　　　　　　　　　 ,．'´　　　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　この前は息子が世話になったね。おかげさんで
　　　　　　　　　 _/,,､---ィ .::;′　　　　　　　　',　　不良在庫も減って大助かりだと言っていたよ。
　　　　　　　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:彡 '′　,r─‐- ､　　　i
　　　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:彡　　　´￣二ﾆ　　 r‐j!　　今日は散歩かね？　実は私もなんだよ。
　　　　　　　 l::::::::/⌒ヽj!　　　_''　,rﾃﾃｯ　　,'｀ﾞ}
　　　　　　　 |:::::〈　ハ　　　　　　　''´　　斤'1　　いやー、良い天気だろう。こういう日は私も健康のために
　　　　　　　　 ';:::::::ヽい　 ',　　　　　　　　　j!　.!　　　運動をするように心がけていてね。
　　　　　　　　　ヾ;;;;;;;;〉 _　　ヽ　　　　,r' ｰ-く　 ,′
　　　　　　　　　　ヾ/　 i　　　i　　 , '´　　　 ; /　　　そうそう、この前病院に行った時なんだがね？　医者に
　　　　　　　　　　_,′　ﾄ､　　　　/　¨''ー--'/　　　　会長さん若いねえ、と……
　　　　　　 /￣/ 　　 ', ヽ､　　　　　｀ﾞﾞﾞ｀,′
　　　　　　　 /　　ヽ､.　　 ',　　ヽ　　　　　,.′
　　　　　　_ノ　　　　　｀丶､　　　｀ｰr-‐'′
　_,,､-‐'"´ ヽ　　　　　　 /⌒ヽ　　ノヽ､　　　
"´　　　　　　＼　　　　/　　,'　い　　 ,. ヽ
　　　　　　　　　＼　　 /　　 ,'　 i　',　/　⌒i
　　　　　　　　　　｀ー′　　; ｏ l　 i i　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 :..　 V /　　　　　＼

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　　とか思ってるうちに捕まったお。

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643 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:15:09 ID:p.6oOeto [36/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　／ノ　　ヽ__ 　＼　　　　はい。
　　　　　　　　　　　　　／（―）　（― ）　＼
　　　　　　　　　　　　　|.　　（_人＿）　　　u　|　　　そうですかおー。
　　　　　　　　　＼　｀⌒ ´　　　 ,／
　　　　　　　　　　　　　　/ 　　　　　　　　ヽ　　　　へー、ですお。
　　　　　　　　　　　　　./　l　　　,/　 /　　 i
　　　　　　　　　　　　　(＿) 　　(__ ノ　　 l　　　　（帰りたいお……）

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　会長のとりとめもない話が、続く、続く、続く、続く。

　　……切り上げるタイミングがねえお。

　　ちょっとくらいなら雑談に興じるのも楽しいんだけど、こうも延々と続くときついお。

　　どうしてこう、このタイプの人って、相手が帰りたそうでも逃がしてくれないん
　だろうかお……。

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644 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:15:42 ID:p.6oOeto [37/114]

　　　　　　　 |
　　　　＼　　__　　／
　　　　＿　（ｍ）　＿　　ﾋﾟｺﾝ
　　　　　　　|ミ|
　　　　／　｀´　＼

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼　
／　　（●）　（●）＼
|　　　　（__人__）　　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（……あ、待てよ？　どうせなら、こっちの聞きたいことを話してもらうお）

　　ふと気付いたお。

　　会長は昔からこの町で商売をやっていたはずだし、もしかしたら久坂誠の
　事業のことも少しくらい知ってるかもしれないお。

　「……そういえば、会長。久坂誠って人のことは御存じありませんかお？

　この辺りで最近まで事業をやってた人なんですけども」

　　会長の自分語りの合間を見出して、そんな質問を滑り込ませたお。

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645 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:16:02 ID:p.6oOeto [38/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,.／　 ,./　　　　　　　｀''-,,
　　　　　　　　　　　　　　　 : ,／:;: !　./　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 /;::::::./ : 　_, ,,,,,,、　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,,,,lﾞ::::,ﾉ゛.r'ﾞ二;;___: ::｀‐　　　　　　　　　｝
　　　　　　　　　　 ,i'ﾞﾝ'' |l/゛-‐ ＜,/ﾞ.ｌぞ､　　　　　.__、　　　 /　│
　　　　　　　　　　　　! .`::::.i〔　　　 : --｀-｀-:　　 ...-　　:ﾞヽ.　 ../ 　│
　　　　　　　　　　　　｝..ｌ;: ! .ヽ　　　　　　　　　　/　,.ｨ;;ﾆi､ :､'､ /　,,ix'|
　　　　　　　　　　ヽ.l" : ./　　 _..-'''Ｚ_,　　 .′ : .ｌ＼.ｌl'ﾞli〕 ! ,i'";:;::/
　　　　　　　　　　　 i′./　,i‐″　　::::ゝ-┐,i　　ヽ｀'''ﾞ,,､,/;::: /
　　　　　　　　　　 lﾞ　.′./　ヽii-　、　　 ´.i　　　　　　_i二./
　　　　　　　　　　　ｌ、　.′ 　　.,ﾞ'-ﾐヽ、　　｝　　　,..､/''ﾞﾞﾞL|
　　　　　　　　　　 / ヽ,　　　　　｀';:ﾞ'''.ｌi,,,,./　 .／.／:::::::::У
　　　　　　　 ,ｒ'"'''ｰ　l,ﾞ,;::::::ヽ　　　　　　　　. / 　/ .,i'ﾞ'二ﾆｰ'゛
　＿＿x─￣　　　/ ' ´ ll :.:.:.ヽ　　　　　　　 ´ 　　/ ｀
　　　　＼　　　j 　　 __i ＼ :.:.:.｀ ――￣ｰ )―'´

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「くさか……え、誰だって？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くさか　　　　　　　　　　　まこと
　「久坂誠ですお。久しい坂と書いて久坂、誠実の誠と書いて誠ですお」

　「……いやあ、憶えがないねえ。七王子に住んでる人かい？」

　「ええ、そうですお。あっちのほうにある大きな邸宅に住んでいた人なんですが」

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646 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:16:46 ID:p.6oOeto [39/114]

　　　　　　　　　　　　　,．- ‐── ‐- ､
　　　　　　　　　 ,r'´ 　　　　　　`ヽ
　　　　　　　　 ,ｲ　　　　　　　　　　 jﾄ､
　　　　　　　　　 /:.:!　　　　　　 j　　　　　i.::::ﾞ,
　　　　　　　i:.:.:| 　　＿,, 　　,､--､　 !:;;;;|
　　　　　　　　 |;;;;j　,r''"二ヽ　　 r'⌒ヽ　 !;;;!
　　　　　　　　　,ﾍ;;i!　,,_r ･,ﾝ.:!　　{〈･_,>､,, jﾍi!
　　　　　　　　〈 j>j､　 "´, ｲ　　　`ヽ　　,':::〉!
　　　　　　　　　 `ゝ.｀, 　　ﾉ､__,入　　　j::rソ
　　　　　　　　　｀ﾞi　　 / ,r===ｭ, ｀,　 '.:〔_
　　　　　　　　　　 }!　 !　i.:::::::::::.:! ;!　 .!::::j::｀` ー----─r- ､
　　　　　　　　　 , ｲ.:ﾄ､　ﾞ===='′　,ｲ!:::::!::.:.:.:.　　　　ﾞ,　　`ヽ
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　　　　　　,.r'´　 /.::!:::::::| ｀ヽ`"""´　/ノ.:.:.:.:.::!:.:.　　　　　 |　　　　　!
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　　　／　　　　　　 l　 , へ＼!　　/'7ヽ　　　　|:　　　　　　　 j　　　　 |
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　 ,/　　　　 i　　　　　　　.::| i|　 j! |　/　　`ｰ'′　　　　　　 !　j! 　　　!
　 j!　　 .:.:.:i:.:.:|　　　　　　ヽ|　/,ﾉイ　　　　　　　　　/　　ljﾚｲ　　　　 |

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「あっちのほうにある大きな邸宅……ああ！　はいはい、あの人か」

　　思い出した！　と言わんばかりに、会長は大声を出したお。

　「ご存知ですかお？」

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647 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:17:05 ID:p.6oOeto [40/114]

　　　　　　　　　　　　　　,． -───-､､､
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　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 _/,,､---ィ .::;′　　　　　　　　',
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　　　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:彡　　　´￣二ﾆ　　 r‐j!
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　　　　　　　 |:::::〈　ハ　　　　　　　''´　　斤'1
　　　　　　　　 ';:::::::ヽい　 ',　　　　　　　　　j!　.!
　　　　　　　　　ヾ;;;;;;;;〉 _　　ヽ　　　　,r' ｰ-く　 ,′
　　　　　　　　　　ヾ/　 i　　　i　　 , '´　　　 ; /
　　　　　　　　　　_,′　ﾄ､　　　　/　¨''ー--'/
　　　　　　 /￣/ 　　 ', ヽ､　　　　　｀ﾞﾞﾞ｀,′
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　_,,､-‐'"´ ヽ　　　　　　 /⌒ヽ　　ノヽ､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「ああ。親しかったわけではないがね。

　うんうん、そう言えば、確かにあの人は事業家という肩書だったな。今思い出したよ」

　　変な言い方だお。

　「肩書きって？」

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648 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:18:22 ID:p.6oOeto [41/114]

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　　　　　　　　　　　 !;;:::;;:;;:!　′ _,,,,,_　　　　　 j
　　　　　　　　　リ^ヾ!　. ''"´￣｀`　　 ‐＝=-〉
　　　　　　　　　　　 { い　　ゞ ,rｪﾃﾝ;:.　斤ｭ,,　/
　　　　　　　　　　　 _lﾊ　 i　　　'~´　　　ト,､｀` !
　　　　　　　　　　 /.:1::u　'､　　　　 ,;:　 j!　　 ,!
　　　　　　　　 _／.:::::|　1　 ;　　,r''"´`ｰ-';　　/
　　　　 ,､‐'´1　.:.:.:::!　ﾞ､　　 /　`ｰ---' ! ,!′
_,,.､-‐''"´　.:.:.::::|　 .:.:.::`､　＼　　　 ´￣　 ,/ヽ､
　　　　　.:.:.::::::::::l.:.:.:.::::::::.＼　ヽ､　_ ＿,.イ `ヽ `丶､
　　　　　 .:.:.::::::::::l.:.::.:.:.::::::::::ヽ　　　ノ/1 /.:.:.::::|　　　`ｰ､､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「うん、あの人は、実際には事業なんかやってなかったろうからね。
　私も長いことこの町で商売やってるが、あの人の事業の話なんか、
　一度も聞いたことがなかった。

　それに、一度お見かけしただけだが、どことなく陰気でね。とても長く商売を
　続けていけそうな人とはみられなかったよ。

　まあ、会社を一つくらいは持っていたのかもしれないけど、それも、
　間体を取り繕うために事業家のフリをしようとしていただけじゃないのかな？

　実際には、資産家のドラ息子とか、そんな感じの人だったんだと思うよ」

　　……。

　「世間体を取り繕うために事業家のフリをする……ですかお」

　「うん。お金さえ足りていれば、会社なんて書類仕事だけで持てるからね。
　たまにそういうことをする人もいるんだよ

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649 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:18:51 ID:p.6oOeto [42/114]

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　　　　　 |　　　　　　.:.:.::<彡ﾐﾐ!
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　　　　　　ヽ ,rェ! .:.::.ｰ'`　.:.:.::::::jﾘ
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　　　　　　　ヽ　`"´　_,,､!　}.::::l:/.::`L_
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　　　　　　　　　　 /^ヽ--＜ハ.:.:/　　　　.:.:.:.:.::::::::ヽ
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　　　　　 |＼　.:|　　 | _| 　　　,j.:.:.:::/　　.:.:.:::::::::::|
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　　　　　　　,ﾚ'′　 ', 　　　　　　／´　　　 .:.:.:.:::::::::::::::::|
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　　　　　 i　　　　　　|　　　　　　　　　　.:.:.:::::::::::::::::::::::::l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「だけど、それがどうかしたのかね？　たしかあの人は、数年前にいなくなったと
　聞いているが」

　「あ、いえ。あの人は蒼星石のお父さんで、どんな人だったんだろうと思ったん
　ですお」

　「おお。あの可愛らしいお嬢さんが、そうなのか。父親に似ず……と言うとなんだが、
　明るい良い子だったね。大事にしないといけないよ。

　私もねえ、妻とは何十年と一緒に暮らしてきたが……」

　　再び間髪入れずに会長の自分語りが再開されたお。

　　やる夫は、適当に相槌はうち続けたけど、上の空だったお。それよりも、今聞いた
　話が気になってしかたなかったお。

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650 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:19:11 ID:p.6oOeto [43/114]

　　■　■　■　■　■　□　□　■　■　■　■　□　□　■　■　■　□　□　■　■　□　□　■

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651 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:19:30 ID:p.6oOeto [44/114]

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　　2016年12月17日　16：25
□━━━━━━━━━━━□

　　　　　【　荻野家　】

　　　　　|　　　　|￣￣|￣￣|三三|　　　　　 ├┬─┬┬─┬┬─┬─┰─┤　 | 　 |
　　　　　|　　　　|　　 |　　 |三三|　　　　　　 |　|,,,,,,,,,,|　|,,,,,,,,,,|　|,,,,,,,,,| /////ヽ,|　　| 　 |　　
　　　　　|　　　　|＿＿|＿＿|三三|　　　　　＿|＿＿＿＿＿＿_＿＿＿＿＿＿_/|　 | 　 |
　　　　　|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |||＿|/∧
　　　 ////////////////////////////|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|///// ヽ
　　　//////////////////////////////////////////////////////////////　 |ヽ
　　　￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣　　.|
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　／| |
γ⌒ヽ　 ∵∴￣￣|三三|.　　　 |三||───||　　　|￣￣￣|￣￣￣|三三三|　.|　 |／ |
;;(;;;;;;;;;;;;）∴∵∴ 　 |三三|.　　　 |　 ||　「「　 ||　　　|　　　 |　　　 |三三三|　.|.　　　 |
二二二二二二二二二二二二二i.　 ||o. 　　 ||　i二二二二二二二二二二二二二二二二二
二二二l二二二l二二二l■〒■| |　 ||　「「　 ||　 |二二二l二二二l二二二l二二二l二二二l二
二二二l二二二l二二二l二二二|_|＿||＿＿＿||＿|二回二l二二二l二二二l二二二l二二二l二
二田二l二田二l二田二l二田二|.　　　　　　　 |二田二l二田二l二田二l二田二l二二二l二
二二二l二二二l二二二l二二二|.　　　　　　　 |二田二l二田二l二田二l二田二l二二二l二

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652 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:19:43 ID:p.6oOeto [45/114]

【　荻野やる夫の部屋　】

　　　　　　　　　　　　|　　　　　iニニニニﾆﾆニニﾆﾆﾆ;ｰi
　　　　　　　　　　　　|　　　　　|｢￣￣￣￣|￣￣￣￣| |i 　　 |　
　　　　　　　　　　　　|　　　　　|i／／　　　.|／／　　| ||:　　｜
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　||／　　／.| 　　　／ﾉ |,|..　　￤　
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　||＿＿＿＿,|＿＿＿,く,ﾒ|」
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　＿／__　　　　　　　　　　|i＼　
　　　　　　　　__　　　　| ⊂⊃　（{::串:::}）　　_＿＿＿＿＿＿＿||　＼
　　　　　　　〈＿〉　　 ..|_.|:: ..| |i￣|￣|_|||,!　 /　　　　　　＼　＼　 |!
　　　　　__＿」L ___,／　`ー'..||___|_：,|_|||,!　/.　　　　　　　　　＼　＼||
　　　／__,,ィ'|‐┘／|　　　　￣￣￣￣　.iー - ― -‐ -　- ‐-）――||､
　　　 |＿_,レﾞ　／／|　　　　　　　　　　　　ﾞ～'ー-～'ﾞー～''~ｰ' ――‐' ＼
　　／__＿＿／,r_,.｢i　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣＼
　　|＿＿＿||／(＿ﾉ　　　　　　/´"ヽ/　　　　　　　　　 ':,
　　 ||　 ,r'　 ||　　⊥　　　　　　（...,_,;; i'―　―――――‐i
　　 ||／　　..||　　　　　　　　　 |_|￣￣￣￣￣￣~||

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　社長にようやく解放された後、家に戻り、カギをかけ……、部屋で一人、考える。

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653 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:20:01 ID:p.6oOeto [46/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　今日知ったことと、以前知ったことを、思い出して、つなぎ合わせていく。

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654 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:20:21 ID:p.6oOeto [47/114]

　【　やる夫の記憶　】

.　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐―-.、
　　　　　　　　　　　,　-――┴-､:.:.:.::'.,
　　　　　　　　,　´　　　 :.:.:.:.:.:.:.:.:丶:.:.:',
　　　　　　／　..:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　　ヽ:.:',
　　　　　／,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　'.,:.l
　　　　 ´./:.:.:.:.:.:／,ヽ:.:.:.／l:.:./i:.:.:.:.:.:.:.:...',:l
.　　　　　i:.／i／-'-. i:／　_＿_.',:.:i:.:.:.:.l:.:.:i!
　　　　　 i i:.:.l. i::::::::i i　　 i:::::::l l/:.:.:.:.l:.:./
　　　　　　l:.:.:l　`ｰ '　　　　`ｰ' l:.／:.:.i:./
　　　　　　i:,.:.:..　　　　__　　　／l:.:.:/:〈
　　　　　　`ヽ:.l.` ‐ , ､＿__,､-　'/:./:.:.:.:',
.　　　　　　　　　／ l ,､.／ .',.　i/l:.:.:.:.,:.:i
　　　　　　　　　/ヽ.. l　i　／',　　l:.:/l:.:ﾉ
　　　　　　　　,':::/::＞-∠::i::::',.　 i/. i/
.　　　　　　　　i::::i:::::７Å´::::l::: ',
　　　　　　　　〉､l:::::::l l:::::::: l-,<
　　　　　　　　 '/ ` ´　 `ｰ'´ ヾ´
.　　　　　　　　 `,,　　　　　 l／
　　　　　　　　　　l=ｦ´ヽ＝.!
　　　　　　　　　　l:::j.　　',:::l
　　　　　　　　　　｀´　　｀´

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　「定職についている吸血鬼は多いんだ。そのほうが社会に溶け込みやすいからね。

　まあ、大抵は比較的自由度の高い職業――典型は自営業や事業家――を
　選ぶんだけど……」

　　そう長岡さんは言っていたお。

　　それからこんなことも、言っていたお。

　「戸籍？　そんなもの、戸籍係を下僕にして偽造すれば済む話だよ」

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655 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:20:50 ID:p.6oOeto [48/114]

　　　　　＿＿＿,,＿,_,,._...、　､､､､､､　 --- ―――┐
　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
　　　　　　.|　　＿＿＿＿　住民票　　　　　　　　 |　
　　　　:: 　|　　　　　　　　　　　　＿＿,,＿,_,,._..､､､､　　 |　　　
　　　　: 　:. |　　'''' ""ﾞ ´´￣￣　　　　　　　　　　　　 |　　
　　　 ::　: : |　　　　　　　　　　＿＿,,＿,_,,._..、､､　 |　
　　　　.::.: |　　 '''' ""ﾞ ´´￣￣　　　　　　　　　　　　 .|
　　　　 :. ::..|　　　　　　　　　　　　　　　＿,,＿,_,, _、､､　|　　
　　　　　 .: : |　　 '''''_""ﾞ_´´ ＿￣_ ＿,.＿,.,, 、,､､ -z- =-'、
　　　:　　　　ﾞ、"`｀""´´￣￣　　￣＿＿,,＿,_,,._..､､､､　　ﾞ、
　　:: 　　　　ﾞ、　　'''' ""ﾞ ´´￣￣　　　　　　　　　　　　　ﾞ、
　　　:: 　　　　　ﾞ、　　　＿＿,,_,, _、､､､　----- ――― 　　ﾞ、
　::.. 　　.　　　ﾞ、　　　　　　　　　　　　＿＿,,＿,_,、､､､　　ﾞ､
　　　　　　　　　ﾞ、　　　'''' ""ﾞ´´￣￣　　　　　　　　　　　ﾞ、
　　　:: 　　　　　　　ﾞ、　　　　＿＿,,_,, _、､､､　---- ――― .　　ﾞ、
　　　　　:: 　　 .　　　ﾞ、　　　　　　　　　＿,,._,,.　、､､､､､　--――''`
　　　　　　　:::: 　 `''''　""､´´::￣￣

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　　……もしかして、あの不自然な住民票は……戸籍係に偽造させたから、じゃない
　のかお？
　　それならあの変な住民票もわかるんだお。

　　実際には活動していなかった、つまり自由時間だらけの、事業家というのも
　条件ピッタリだお。

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656 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:21:06 ID:p.6oOeto [49/114]

【　やらない夫と蒼星石の父、久坂誠　】

┌────────────────────────────┐
│┌──────────────────────────┐│
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││　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...││
││　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...││
││　　　　　　　　　　　 _ヽ ,. -―‐-:::、　　　　　　　　　　　　　　 .││
││　　　　　　　　　　／´｀v'::::::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　...││
││　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::ﾊ　　　　　　　　　　　　 .││
││　　　　　　　　 /:::::/::/:::/l:::::::ヽ::::＼::ﾍ:::;ﾊ　　　　　　　　　　　......││
││　　　　　　　 ,':::::/::/:::/,_l::ヽ:::::ﾄﾍ::::＼::ヽ:}　　　　　　　　　　　　.││
││ 　　　　　　 ,'::/l:::/:::/ｾ=',:::iヽ::|ﾔﾐ::ﾍ::::::::l__　　　　　　　　　　　 .││
││ 　　　　　　 l/ .|/l::rY弋i} ヽl ｀ヽ{iｿ｀ YヾΣ　　　　　　　　　　　 ││
││　　　　　　　　　　 |! ヾ{､｀ｰ　　,　　｀ﾞ´ ./ソﾞ｀　　　　　　　　　　　 .││
││　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　_ _　　 ,ｲ/　　　　　　　　　　　　　.....││
││　　　　　　　　　　　　　　　｀　､　　 ,／ |　　　　　　　　　　　　　　　 ││
││　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ｀ｰ _,,='´＼__　　　　　　　　　　　　　││
││　　　　　　　　　　　_／/ /｀ﾍ　　 / ∧｀ヽ　　　　　　　　　　　.││
││　　　　　　　　　　　　, r'/　 {∨l__,∧_,/　　∧　　＞、　　　　　　....││
││　　　　　　　　　　r'"´::〈　 /|　/ｿ |　∧ 　　〉　　　　,＞､　　　　　 ││
││　　　　　　　　　/　　　ﾏ'　| i /　|,/　＼／　　　Y　　.',　　　　　││
││　　　　　　　 {i 　　　 >　|/ 　 /　　　.ﾏ　　　 / 　　 .}　　　　...││
││　　　　　　　　 |l　　／　 .|　 ./　　　／　 i　　ﾉ　　　　 |　　　　 .││
││　　　　　　　 |ヽ|　＼　　.| ./　　／　　 ',　i'　　　　 |　　　......││
││　　　　　　　　ノ　 |　　＼　∨　.／　　　　　ヽl　　　　 |　　　　 ││
││　　　　　　 |　　 ',　　　ﾏi',／　　　　　　　　!|　　　　 .|　　　.....││
││　　　　　　 |　　　ﾞ　　　　ﾘ´　　　　　　　 |!　　　　 |　　　 .││
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└────────────────────────────┘

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　つまり…………もしかしてだけど、久坂誠は――

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657 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:21:20 ID:p.6oOeto [50/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（,r'⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､-ｰ''ﾞ´￣￣゛''-――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　i.　　　　　　::::　　　::::　　ヾ　＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　/ 　　　　ｲ　:::､ト. 　.ヽ＼::::ヾゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　 l 　　/　ノ::::| 　|. | ﾞｉ.ﾞｉ::::ヾ　ゞﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　l　　....:::|: ､ｲ≠=ｷ'::|　 |ﾞｉl=ﾒトヽ ,|ヽ |
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　　　　　　　　　　　　　　　ノリﾞｉ::::: ｛^ﾞｉ:{::::￣ :::ﾚ'::.　￣':|Ｎ| /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾﾞ::::!∨:::: 　 ::: 　　ｉ　　 l’,ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ;::゛ﾄ、　　‘こﾌ　　, '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）;::|　丶.,_　　　, '
　　　　　　　　　　　　　　　,へ<゛´￣ｿ|.＼　　`''''i´Ｙー'^''''-＿._
　　　　　　　　　　　　　　ヘyr)m〉'z-ﾝﾄ.,__　l.ﾞｉＶ◇ヘ|　　／　､　､＼

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　――実は、吸血鬼だったんじゃ…………？

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658 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:21:50 ID:p.6oOeto [51/114]

【　やる夫の回想　】

　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　≪　吸血鬼の主な特徴　≫
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　　・　血を吸った人間に命令を聞かせることができる
.　|　u.　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　・　血を吸って殺した人間を吸血鬼に変えることができる
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }　　　　　　　　　　・　血を吸う最中には性的快感を与えるらしい
　　ヽ　　　　　ノ
　　 i⌒＼ ,__(‐- ､　　　　　　　　　・　弱点は日光、心臓もしくは脳への攻撃。首の切断も有効。
　　 l ＼　巛ー─;＼　　　　　　　　　　（ただし弱点を克服してる個体もいるので注意）
　　　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l　　　　　　　　　　・　性交渉によって生きた人間に子どもを産ませることができる
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　吸血鬼は子どもを産ませることができるそうだから、やらない夫と蒼星石という
　子どもがいても、おかしくないお。

　　とすると……

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659 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:22:03 ID:p.6oOeto [52/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　 /￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／ _ノ　ヽ､_ ＼　　　　　　　　Ｎ_＿＿＿＿_И
　　　　　　　　　　　　　.　|　（ ●）（● ）　|　　　　.　　 rヘ二二二二／｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　.　|　　（__人__）　│　　　　　 /　／,　　　　　、　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　｀⌒ ´　　|　　　　　　,′/　/ ,′l |　　ﾄ､　!　　j
　　　　　　　　　　　　　.　 | 　　　　　 |　　　　　　!　′/ /7メ |　　ﾚ仁|　/｜
　　　　　　　　　　　　　.　ヽ　　　　　　/　　　　　　 | l|　{　ｌ/-=ﾐﾍ.　|/:::｢ﾚ'　/
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 /　　　　　　　∨丶〈::.::.::}　ヽlヾﾂ厶ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　>　　　 <　　　　　　　　｀、ﾄ､ヾﾞﾞ´　 _ ,　 ,ｲ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 |　　　　　　　　　ヽj　＼＞r-r＜}/／　＿
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 |　　　　　　　　　　＿／: : |介ﾍ: :￣厂「rﾍﾚ‐-､

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　――やらない夫と蒼星石は――

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660 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:22:18 ID:p.6oOeto [53/114]

　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　｀､
.　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　　＼
　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　　　　　　゛､
　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::　　＿＿,　　　　　　　i
.　　　　　　　 i:::::::::::::::::::::::::::::::　__ ,,,　　　　　　　　 ,,　　}
　　　　　　　　 }::::::::::::::::::::::::::: 　 '｀`'(;;;;;)ヾ＼　　　＿_＼ .|
.　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::　　　　　 '￣´　　　　ヾ(;;;) ゝi　
　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　
　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::. 　　　　　　　　 ::{　　　　 } 　
　　　　　　 {:::::::::::::::::::::::::::､　　　　　　　　　 ::} 　　　　　 }　　　　　 ┌＜二三三三三≧
　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::ヽ､,　　　　　　.:}　　　　 ,　 |.　　　　　　∨三三三三三三７
.　　　　　　　　{::::::::::.i::::::::::::::::::::::ゝ､　　　　　:ノ、　　　/ 　 !　　　　　　∨‐' ´￣￣二二ﾕ＿
　　　　　　　|:::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::‘ｰ-‐==＝ニ=:､__,,ノ　　ﾉ　　　 r=＝ﾆ二ニ三三三三三二≧
　　　　　　　|:::::::i::::::::::::::::::::::::: 　　 ::::::::::::::ー､　`'''ﾞ´　 /　　　　　ヽ;;;/　 .,'´/　.,､-ﾍヽ､　｀',;;ノ
.　　　　　　 |:::::ｌ::::::::::::::::::::::: 　　　 ::::::::::i￣´　　　 /　　　　　　　 l .ﾉ.,''ﾚ'　,ｨ､'ｰx ､ヽﾍ　l
.　　　　　　　{::::i::::::::::::::::::::::　　　　　　'　　　　　　/　　　　　　　　i ´ ::　i/´ :| ｢｀'r;;l/丶ゝll
　　　　　　　　 }::i:::::::::::::::::::::: 　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 l　::　,':l 　::|.｀'ｰ';;;;;;;;;'l ﾉ'!
　　　　　　　　 !人:::::::::::::::::::.　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 l',.;､;'::::l　::|_　:::;;;;;;;;;;! l'
　　　　　　　 /::::...　...:::::::::::　　　　　　　　　　　 ,/　　　　　　　　　　lﾉ｀'ｰ! ,ﾉi! ｀ i'' ''´::::.l
.　　　　　／/:::::::::::::::＼::::::::　　　　　　　　　,/　　　　　　　　　,,-'´:::::::::::::'__[~l|》o《|!;::::: ',
　　　　／　/:::::::::::::::::::::::＼__::::.. 　　　.:　　　　／　　　　　　　　　く::::::::::::::::::::/　',i￣　 ~ ',~;:::::',
.　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::: `'ｰ-‐ーー----;:"´　　　　　　　　　　　ヽ,, -ｰi'´ ';,_.,ll＿＿,,ゝ'.i~´
.　／　　 ,/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::;;″ /'ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　'､_ .,,-'"=ｰ- ､__,,,!_
　/　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i'　 /'"´ ＼　　　　　　　　　　　　　　　 ,-ｰ_´::::::::::::::::::l

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　――実は吸血鬼と人間のハーフ……ということに……。

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661 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:22:40 ID:p.6oOeto [54/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　-一'　　　　ﾞー-　＼
　　　　　　　　　　　　　／　／ ,==、ヽ　　 /´,=、ヽ＼
　　　　　　　　　　　　／ u （　（:::::::::i　l 　　l i::::::::)　）　＼
　　　　　　　　　　　　| .　　ヽ_ ｀ー´ノ　　　ヽ｀ー´_ノ　　 |
　　　　　　　　　　　　|　 ''"⌒'（　　　 .　i　　　　）'⌒"' u　|
　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ ┬─'＾ー┬'　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　ヽ、::::::::::ノ　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　∨､ {{｀ヽ.￣￣￣_. イ.ｰ' {_
　　　　　　　　　　　　　 _,,-,∨､}}　 {ﾄ,;;;;;;;;;/ }　./ゞ〈::ヽ
　　　　　　　　　　_,..-.:"　ヾ、..:.:ゝ＼｡ | ｌ.|　|｡〃､く.:.:.:}`::..､,,_
　　　　　　_,..-.:"　　　　　　ヽ.:.:.:｝}｀| .|.i |　´/　／.:.:ﾘ　 .　　`i:ｰ.,
　　　　 ,´ｰ-､:　　　　　　　　　':.:´ヽ　.| l |　/／.:.:.:.:/　　　　　:i:::::::',
　　　　 l:::　　`::､　　　　　　　　 i.:.:.:.:ヽ,|| |／.:.:.:.:.:.:/ 　　　　　 .l:::::::::',

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　（いやいやいやいや。まさか、だお）

　　こんなの仮定にいくつも仮定を重ねた乱暴な推論にすぎないお。
　　当たっている可能性のほうが低いお。

　　そもそも、あのやらない夫が、仮にも退魔師のやる夫のところに、吸血鬼と
　人間のハーフを預けるわけがないお。

　　下手したら退治されかねないんだし。

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662 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:22:53 ID:p.6oOeto [55/114]

【　やる夫の記憶　】

　　　 l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:/l:/:.:.:.:./.:/l.:l.:.:.:l.:.:.:.:l.:.:.:.l:.:.:.l
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　いやでも……ランペルージの左腕を切り落とした『奴』がいるのは確かで……
　それは、少なくともアイツの目から見て、蒼星石とやる夫共通の知人……。

　　となると、やらない夫くらいしか思い当る人間がいないお……。

　　仮に、やらない夫が吸血鬼と人間のハーフなら、吸血鬼と戦えても不思議はないし、
　退治される可能性を恐れて名乗り出ないのも当然……。

　　……あ。そういえば。

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663 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:23:28 ID:p.6oOeto [56/114]

【　やる夫の記憶　】

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　　　　　　　　　　　　 _.....-‐'⌒ヽ､__　　　　　　／＿:　-‐ ´ヽ,'　　ゝ､::/ "　　　i／＿i::::::::i::::::::::/::::::::::,'
　　　　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::ヽ:ヽ__.....-‐‐‐-　　　　　　i　　　　　　　　　=＝=､|:::::/::::::::/::::::::::/
　　　　　　　　　 i´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::`┬､-､-､ ',　　　　　 /　､/:::::::::ﾟ:i:::/::::::::/::::::::::/
:＼　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::i :i　i : :ヽ',　　 ‐-､ ´　　｀‐-= ／::::::::/:::::::／
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:::i´ゝ-‐-､｀　､＿-､＿＿＿＿＿＿＿＿≧､､::ゝ´￣￣￣`‐-､==⌒｀´::::｀::‐::´￣｀:::‐‐--..､
::ﾉ//⌒ヽヽ　　｀i二 ]‐-､―――───==-／　　　　　　　　　　　｀-‐､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
:∨ i　　 i　i 　　　　｀ヽ｀ヽ　　￣￣￣￣｀.／　　　 ,＿ゝ-/　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::::::::::i
:::ヽミ‐‐' ノ　　　.ゝ-､∨∧　　￣｀　‐--'､　　　／､二 /　　　 / 　　　,　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::ﾉ
｀ヽ＞､´ 　　　　　弋_ﾉ i 　/ 　　　　　　　　｀ ‐´--== /.　　　 ,/　　　/i　　　 , i:::::::::::::::::::::::,'
: : : : :＞ミ‐-‐‐‐-==-´__　-‐‐‐　´｀フ､‐-､　　　　 /i 　　　//　　　 //　　　/´､::::::::::::::::ゝ'
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　　あのときのランペルージは、長岡さんを指して『奴の同類』と言ったお。
　よく考えると、やる夫は省かれているんだお。
　　　　　　　　　~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

　　なら、あの『同類』が指す意味は、『退魔師であること』じゃないのかお？

　　もしかして、『吸血鬼と人間のハーフ』ってことで……長岡さんもそうだ、という
　ことかお？

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664 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:23:58 ID:p.6oOeto [57/114]

【　やる夫の記憶　】

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::7ー--　＿____, - ､_／　 |:./!:.:.:./　　　 ,　､　　　　r=<:.:.:/|:.:.:. |　!
::|　　　　　　　　／　　 |/ |::::/　　　 /　　＼　　じ/:.:/ :|､:.:. ! .j
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::|　　　　　　 /　　　　　　.|/, 丶　　　　　　／ .／:.:.:.:.:.: |　 ,ﾘ
::|　　　　　./　　　　　　,ｨ ´.　　＼　　　 ´ _／|:.:.:.:.:.:.:.:.:|
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　　だとすれば、長岡さんが、見ただけで人間と吸血鬼を区別できるほど
　異常に吸血鬼に詳しくて、しかも人間離れした身体能力を持つのも、説明が
　つくんだけど……。

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665 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:24:20 ID:p.6oOeto [58/114]

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　　　　　　　/　 u　.　　￣￣￣　　　　￣￣　　　'.,
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　　　　　　 l　　　U.　　　（　　　　人　　　 .）　　.l
　　　　　　 .'.,　　　　　　　｀ｰ一 ´　｀ｰ‐ ´ 　　 .,'
　　　　　.　　' ,　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　ゝ、　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　／｀　ー――――― ‐='''　く
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　. /.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　　/ 　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 l

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　（いや、退魔師の長岡さんが……そんなはずは……）

　　ない。
　　そう否定しようとして、そのための材料がないことに気がついたお。

　　考えてみれば、お膳立ては全てやらない夫がやったから、長岡さんのことも、
　やる夫はほとんど何も知らないお。

　　……彼女が本当に退魔師かどうかすら。
　　　　　~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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666 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:24:52 ID:p.6oOeto [59/114]

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　　だって、やる夫は、本人とやらない夫がそう言っていたから、そうだと思っていたに
　すぎないんだお。
　　あの二人は昔からの付き合いのようだし、やる夫のわからないところで口裏を
　合わせるくらいは余裕のはずだお。

　　……それにあの時、長岡さんは頼まれてから来るのが異常に早かったお。あれって、
　もしかして、やる夫が頼む前から、やらない夫が依頼していたから、じゃないのかお？　

　　やる夫は、たまたまオマケとしてそこにくっついた、というだけで……。

　　もしかして、長岡さんが退魔師ってことから、全部、嘘、かお……？

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667 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:25:11 ID:i.KVorW2 [2/4]
推測はいいが、自分の安全を忘れるなよー。もうやらない夫にバレてもおかしくないんだぜ、なんせやらない夫があそこにいた理由も怪しいしｗｗ

668 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:25:13 ID:p.6oOeto [60/114]

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　　しかも、もし久坂誠が吸血鬼だったなら、退治された際に死体が塵になって
　消えるお。

　　退治した退魔師が届け出なければ、そのまま行方不明になるお……。

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669 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:25:41 ID:p.6oOeto [61/114]

　　　　　 |ニニニニニ＼　＼ニニニニニニニニニニニ＼三三三三＼
　　　　　 |ニニニニニニ.＼　＼ニニニニニニニニニニニ＞＝───>
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　　　　／i＼ニニニニニニニ＞　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__／
　　　/　 /:.:.::.>､ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ//＞､
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　　ｲ:.:.:./:.:.:/　.|.i　|:.:!:.:.:.:.:.:.:.:i:.:ヾ:.:.＞....._ニニニニニニニニニニニ./
　　ﾊ:.:.:i:.::.:.i＿_ﾘ _.|_:|:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:i＞:::....._＿ニニニニニ／
　　 |ﾘ:.: !:.:.:.:| 　　 .|:.:ﾄ:.:.:.:. :: | ヾ:.＿＼:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:ﾊ── イ
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　　　　Ⅵ:.:ﾊ:.:.:ヽ　Vzリ　　ヾ　　ｲﾝ:::::ヾｧ:.:.:.＼:.:.::.:.ゝ:.:｛
　　　　 i!ﾄ:.::.:ヾ:.:ﾄ､｀ ´　　　　　　　 i!廴..:::/ﾊ:..:.＼:.ゝ人:.:.:.ｵ
　　　　 |∧:.:.:.::ハゝ　　､　　　　　ヾ=- 'ノ:.ｲ:.ヽ:.:＼:.:.:.:./i:|
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　　　　　　ﾚi!::::.ﾊ　　　　｀ー　┬　'　´ ./:.:.:ｲ:.:.:/:./ ＼
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　　　　　　　 i!　｛::::::;;;;;;;;;;;;:ﾐ､　 Yr' '´_._i!＿ﾊ｛ハ　　　　　ﾉ //＿i
　　　　　　　　　　＼::＼　　ヾﾐil､/ィ彡≦ァ:::/:|　　　　　　　｝｝::i廴::::::＼
　　　　　　　　　　ィ　>:::＼　　｝:::イ　　 /:::/　　　　　　　､入i::l＿ﾉ:::::::::::＼
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　　……あ。

　　いや、でもやっぱりおかしいお。

　　少なくとも、蒼星石は間違いなく人間のはずだお。

　　長岡さんや、やらない夫はともかくとして、蒼星石とは１０年以上の付き合いだお。
　　いくらやる夫でも、これだけ長い付き合いで、しかもここ１年は一緒に戦ったことだって
　何度もあるというのに、それでも人間じゃないと気付かないなんてことはないお。

　　……なら、うん。やっぱり、久坂誠が吸血鬼で、やらない夫が吸血鬼と人間のハーフ
　なんてこともありえないお。

　　養子であれ実子であれ、人間の、しかも霊力の豊富な蒼星石は、妖怪にとっては
　極上のエサなんだお。

　　その蒼星石が妖怪と一緒に長年暮らして無事に済むわけがないんだお。

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670 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:26:25 ID:p.6oOeto [62/114]
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::|　　　　　　 /　　　　　　.|/, 丶　　　　　　／ .／:.:.:.:.:.: |　 ,ﾘリﾞｉ::::: ｛^ﾞｉ:{::::￣ :::ﾚ'::.　￣':|Ｎ| /
::|　　　　　./　　　　　　,ｨ ´.　　＼　　　 ´ _／|:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　ヾﾞ::::!∨:::: 　 ::: 　　ｉ　　 l’,ﾚ′
::|　　　　　　/　　　　　 f´ {　　　　　　￣￣　　/;ｨ:.:.:.:.:.:.:.:!　　　　　ヾ;::゛ﾄ、　　‘こﾌ　　, '
:::!　　　　　/￣￣｀ヽ　 |.　 '.　　　　　　　　　 /'　|:.:.:.:.:j:.:/　　　　　　　）;::|　丶.,_　　　, '

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　　……いや、でもしかし……それ以外の状況は久坂誠が吸血鬼で、やらない夫と
　長岡さんが吸血鬼と人間のハーフと考えるのが一番説明がつくお……。

　　……いや、だけどそうすると、今度は蒼星石のことが説明付かないし……。

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671 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:26:44 ID:p.6oOeto [63/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.．-‐　'' ''　¨ ﾞﾞ　￣ﾞ ¨'' - ．　　ヽ、ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,．＜　　　　　　,　　,ｨ　　　　Ｕ　　 .ヽ　　　ヽ　 .ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　ｰ-一''"´ ,ｨ彡f,ィ"´: : .　　　　　ヽ　　.｝　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　,ｨ彡彡fﾞ. : : : : : :　　　　　ﾞ;　　,'　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　.,'　　.　i　　　　　　㍉彡".‘ : : : : :　　　　　　　 } ,/　　　　　.}
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　　　　　　　　　　　　　　',　 ,ノ　 ,ｨ彡x!　　　r‐'"ゝ' ＼　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　.',　　. ,ｨ彡彡"､　 ,ｲ､ゝ"　　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「っだーーーーーーーーーーーーー！！　わかるかおっ！！」

　　そいや、とベッドに倒れ込む。

　　駄目だお。本気でわからんお。

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672 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:27:08 ID:p.6oOeto [64/114]

　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　／　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　 / ヽ、　　　　　_,.． -- 　ﾞ .
　　　　　　　　　　　 /　＿｀__　　　　＿＿　　 ,
　　　　　　　　 ′　￣￣　　　￣￣　　　，
　　　　　　　　 {　 "'　　　　　　　､､ ∪　}
.　　　　　　　　　　　　､　　　ゝ-‐ ｰ- '　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　＿> ､　　　　　　　　／
　　　　　　　　 ∨/r v'´ ヽ　_　　「/7,＜
　　　　　　　　　　　／V,l / ＼　V　　」/////〉
.　　　　　　　 ,.ｲ //Y〈_　　ヽ.〉　く//////__
　　　　　　 /.:.|///ゝ､｀ヽ.／ f⌒o 7¨´／//}
　　　　　　 >､:ヽ／　` ｀Y ! 　_! [`__'7´////,j
.　　　　　　__ / 　〉′j　.ｲ /} } / _/　∨//////,|
　　　　　/ f´ |　ト､｀　､ゞ / { {//　　　У//////|

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　「もーいいお。こうなったら、久坂家に行って、妖怪のものらしき痕跡がないか
　チェックして、なかったらやめにするお。

　そんときゃやる夫の勘違いってことでいいお」

　　だって、蒼星石は退魔師を続けられるし、日常ももう戻ってきてるお。
　　あれこれ苦労してわざわざ混ぜっ返す必要はたいして高くないんだお。

　　ある程度調べて、やらない夫が多分人間だろうと思えるようなら調査打ち切りで
　いいお。

　　だいたいにして、調べれば調べるほどロクな目にあってない気がするし。

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673 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:27:23 ID:p.6oOeto [65/114]

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674 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:27:43 ID:p.6oOeto [66/114]

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　　2016年12月17日　20：35
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　　　　　【　久坂邸　】

:.ヽ　　　＿　　　　　＿
:~:::..... ﾉ~::::: ... ヽ　 ,:::::::...)　　　　　
::.:..........　　:: .... ﾉ..ｿ....:::...:.:.　ﾉ　　　　　　　　　　　　 ―　-
::.....::::....　　゛::　　..:...........::::::ヽ　　　　　　　　　　／　　　　　＼　
　　,....:::::::::........　.........　　.....く　　　　　　　　　 / 　　　　　　　ヽ
....: ::::....ノ....::::.:::: .... ﾉ:::::::: ............ノ　　　　　　| 　　　　　　　　 |　　　
::::ヽ,.....　　.,,....:::::::::::::....:::...　　゛　　　　　　　|　　　　　　　　　|　　　
:::::::........　.........　　.......::........,,....:::::::::.ノ　　　　　ヽ　　　　　　　　/
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ヽ　　,',:.....:::::::::..........　.::::..,　.........:::::::::ﾉ　　　　　　　　ー―　 .　　　　　
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675 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:27:53 ID:p.6oOeto [67/114]

【　玄関前　】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (二二二ﾆ/二二ﾆ/二｜二二ヽ二ヽ二ニニ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/| |ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//＿/__//＿/__//＿/_| |__ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/__| |＿ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽ
　　　二二二ﾆ/二二ﾆ/二二二//＿/__//＿/__//＿/＿| |＿_ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
　　 //＿/__//＿/__//＿/__///＿/＿//＿/__//＿/＿ | |＿_＿ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　//＿/__//＿/__//＿/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　 //＿/__//＿/__//＿/__//＿|　　　|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|＿＿|＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　○====○====○====○===.|　　　|││││││││││││││││||　　||===○===○===○===○===○
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676 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:28:30 ID:p.6oOeto [68/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　_..-''''ﾞﾞﾞ´　　　　ﾞﾞﾞﾞ'''ｰ,,、
　　　　　　　　　.／　　　　　 U　　　　　　　＼
　　　　　　　　 , '　　　＿＿＿　　　　＿＿ .ヽ　　　　
　　　　　　　./　　　　（　　● 　.）　　（　●　)　 '.,
　　　　　　　/　 u　.　　￣￣￣　　　　￣￣　　　'.,
　　　　　.　.,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.l
　　　　　　 l　　　U.　　　（　　　　人　　　 .）　　.l
　　　　　　 .'.,　　　　　　　｀ｰ一 ´　｀ｰ‐ ´ 　　 .,'
　　　　　.　　' ,　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　ゝ、　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　／｀　ー――――― ‐='''　く
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　. /.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　　/ 　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 l
.　　　　/　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 |
　　　　|　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「……さて、着いちゃったけど……マジな話、こっからどうするかお。

　真正面から『蒼星石のとーちゃんが吸血鬼かもしれないと疑ってるから
　家の中見せて』とは言えないしなあ。

　ここ、異常に広いからトイレに行くフリして他の部屋をのぞき見、なんてのも
　難しいし……。

　うーん」

　　歩いてるうちに名案も浮かぶだろうと軽く考えていたら、結局浮かばないまま
　目的地に先についちまったお。

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677 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:29:02 ID:p.6oOeto [69/114]

　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　／　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　 / ヽ、　　　　　_,.． -- 　ﾞ .
　　　　　　　　　　　 /　＿｀__　　　　＿＿　　 ,
　　　　　　　　 ′　￣￣　　　￣￣　　　，
　　　　　　　　 {　 "'　　　　　　　､､ ∪　}
.　　　　　　　　　　　　､　　　ゝ-‐ ｰ- '　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　＿> ､　　　　　　　　／
　　　　　　　　 ∨/r v'´ ヽ　_　　「/7,＜
　　　　　　　　　　　／V,l / ＼　V　　」/////〉
.　　　　　　　 ,.ｲ //Y〈_　　ヽ.〉　く//////__
　　　　　　 /.:.|///ゝ､｀ヽ.／ f⌒o 7¨´／//}
　　　　　　 >､:ヽ／　` ｀Y ! 　_! [`__'7´////,j
.　　　　　　__ / 　〉′j　.ｲ /} } / _/　∨//////,|
　　　　　/ f´ |　ト､｀　､ゞ / { {//　　　У//////|
.　　　　 {　l　 |　|　｀　ー'‐ =　Tl _　〈/＞z/_∧,|
　　　　　ヽﾞ.､ |　|　　　　　二　l | 　｀ﾞ｀　＜/_/_j
.　　　　　 ` ┘^ 　．　二 //　　　　　 /　￣
　　　　　　　　　　　｀　＜ {.{ ､　＿_　ノ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　おまけに、しょうがないから一辺夕飯食べに行ってからまた歩いて戻ってくれば……
　と思ってそうしたら、やっぱりなにも考えつかず、ただ２０時近くになっただけだったお。

　（ってか、夜に女の子の家の前を徘徊してるって、それストーカーだお）

　　冷静になってみると、自分の姿がとても怪しいことに気がついたお。
　　それも、通報されても不思議がない怪しさだお。

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678 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:29:29 ID:p.6oOeto [70/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　（＿＿ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　（＿＿_ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　／　　──　　　　──　（＿_ _　ヽ_
　　　　　　　　　　　　　／　　／´　｀ヽ　　　/´　｀ヽ　（＿＼〈
　　　　　　　　　　　／　　 `Ｔ;;;:::;;;Ｔ′ 　　`Ｔ;;;:::;;;Ｔ′　　＼＼
　　　　　　　　　　　 |　　　　ヽﾞ''''''´"ノ　　　ヽ⌒ﾞ''''''´"　Ｕ　　|　）
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　（　　　　i　　　　）　　　　　 |三三）
　　　　　　　　　　　　＼　　　　｀ー ─'＾ー一'　　　　　／.:.|　 .|
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　　　　　　　　　　　　　　　〉三三三》　　　　　《三三三〈　 |.:.:.:.:|　 .|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（アホ臭い。帰るお）

　　一体なにをやっているんだか、と自嘲する。

　　いかんお。
　　ここのところ、蒼星石との間柄が、なんとなく今までと違ってる気がするものだから、
　どうも焦っちまってるお。

　　こんな状態でなにかをしても上手くいきそうにないお。

　　今日はもう撤収するお。

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679 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:30:03 ID:p.6oOeto [71/114]

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ﾆ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二l::..|:　　　 | 　　　　　 :.:::.:: :::
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　　久坂邸の壁の側を、てくてくと歩く。

　　いつも思うけど、異和感すら覚えるほどの高い壁だお。一番上はやる夫の目線よりも
　さらにずっと上、たぶん高さが２メートル５０センチくらいあるんじゃないかお？

　　しかものぞき窓になる隙間もまったくなく、全部ピッタリと閉じられているんだお。

　　まるで、境界線を明確にしたい、というだけでなく、中の様子を覗われたくない、という
　前の主の内面が現れているようにも思えたお。

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680 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:30:32 ID:p.6oOeto [72/114]

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 ´￣｀　　　 ´￣｀　　　　　　　　＼
　　　　　／_　　　　 __　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　 / /::::ヽヽ　　//::::ヽ　　ヽ　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　ゝー ' 丿　ゝー '　　ノ　　　　　　　　　　　　|
　　　　 |　 /　人　　ヽ　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　 |　ゝノ　ゝ _ノ　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　＼　｀´￣｀ ´　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
.　　　　　　ヽ　_＿＿＿＿　イ　　　　　　　　く
　　　　　　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

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　（おっと、いかんお。気がつけばまたそんなことを考えてたお）

　　今日はもうやめにすると決めたんだお。さっさと帰るお。

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681 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:30:54 ID:p.6oOeto [73/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　さらにテクテクと歩く。

　　ちょうど、あの和風の造りから洋風の作りに変わって、少し行ったところのあたりだお。

　　……と。

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682 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:31:24 ID:p.6oOeto [74/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（！？）

　　ぞわりと。

　　ごくかすかながら、いつぞやの――

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683 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:31:52 ID:p.6oOeto [75/114]

　　　 /　　　　 |: : :'|: :.＼'l,　　　　　 |　　　| /´　　　　　　　／　 ,/／|::|
　　　　　　　　　|: : ∧: :ﾍ＼,,.ﾐゞ- 　　　　ﾉ|　　　　　　　　／/　イ: :/ |:|
　　　　　　　　　|: :/　l; : :.＼＼　　　　　　丶　　　　 __　,／／／| : ,l　∥
　　　　　　　　　}:/　　l,|: : : :＼`ヾ　`-=―――_,.=-'´／イイ: :,ﾊ:. ,l　　|
　　　　　　　　　/　　　| l; : : : :＞、　　　￣￣´　　　／イ: : : :| |: |
　　　　　　　　　　　　　　l; ｲ|: : : |::｀ゝ、　　　　　 _,.イ´　|: : :|:.| .l,:|
　　　　　　　　　　　　　　|/|/（￣ー-r-＞、__,. イーyーー`）/||　l,l
　　　　　　　　　　　　　　l　　}|ー-―|　r―――--l .ﾄ-―.ｲ　ｌ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　∧.　|│　　　　　│ |　ｲl　|
　　　　　　　　　　　　　　　ｲ,ﾍ|/,-,.|│　　　　　 |　|,-,|.|,n|
　　　　　　　　　　　　.＿／　(^)//)'| | 　　　　 | .||-ヽ||｀＞ ― 、_＿
　＿_,--――'´￣￣￣　　　　,/ |　　| |　　　　　　|　|　 |,ﾊ´　　　　　　　￣`'ｰ―--

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　――ランペルージを彷彿とさせる、あの気配がしたお。

　　吸血鬼の気配だお！

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684 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:32:15 ID:p.6oOeto [76/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　　　！？
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 ×
　　　　　　,　- ＼　　　　　　　　　　　　　　　／´ ‘,
　　　　〃　 γ　｀＜　　　　　　　　　　> ´', 　　| i
　　　　 {i 　　{ 　●　} ヽｪｰ ,.}　　　 .}=ッ{● }　　 i | ――――――――――――――――――――
　　　　ﾍ　　!､.＿.ノ､ﾉ　　　　　　ﾄ !､_ソ__,／ .i
　　　　　　゛'''──ー /　　　　　　　 i　｀ヽ　　　　 i
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　i 　　ヽ　　ハ
　　　　　　　　　　{ 　　　　　　　 }.　　　}　　 /

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　すぐ辺りに気を配る。けど、もう気配はしなかったお。

　（気のせいかお？　……いや……本当にごくわずかだけど、たしかに感じたお！）

　　それも、久坂邸の中から、だったお！

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685 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:32:54 ID:p.6oOeto [77/114]

　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　／　ヽ　､:　: ,　 / 　＼
　　　　／　　　ゝ_ﾉ: : :ゝノ　　　　＼
　　　／　　 ( ○　):.:.:.:.( ○　)　　　ヽ
　　 |　　　　　 /　　 !　　ヽ　　　　　 |
　　 |　　　　　ゝ _ノゝ _ノ　　　 l j　　|
　　　＼　　　　 |!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!|　　　　　／
　　　／　　　　 l!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!|　　　　　＼
　　/　　　　　　ー――‐ '　　　　　　　ヽ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（いかん、ただ事じゃないお！）

　　本当にやらない夫が吸血鬼と人間のハーフだったのか？　それとも、別の吸血鬼が
　久坂家に侵入したのか？
　　それはまだわからないお。

　　だけど、家の中から妖気が漂ってきて、すぐに隠されるように消えた、というのは
　どんな理由であれ凶兆だお。

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686 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:33:23 ID:p.6oOeto [78/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　[ 携帯用の対妖特殊警棒 ]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┌┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ├┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ││
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └┘

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　今持っているのは、携帯用の対妖特殊警棒ただ一つ。

　　妖怪を相手にするには心もとないけど、しかし、今から家に戻って他の装備を
　取ってくる時間はないお。

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687 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:33:40 ID:p.6oOeto [79/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　＼,　　　 ,／　　＼
　　　　　　　　／　　／´　｀ヽ　　　/´　｀ヽ　　＼
　　　　　　　　　　／　　（　　　● l 　　l ●　　　）　　＼
　　　　　　　　　　|　　　　ヽ_　　_ノ　　　ヽ_　　_ノ　　　　　|
　　　　　　　　　　|　　　 ''"⌒'（　　　　i　　　　）'⌒"'　　　|
　　　　　　　　　　＼　　　　｀┌,─'＾ー,,-┤　　　　　／
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　｀ー -- -一'　　　　　／
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／￣￣ヽ;　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　（｢　　　｀rﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　i　　　|
　　　　　　　　　　　i´￣￣｀i　　　　　　　　　　　　l　　　|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（仕方ないお。このまま突入するお！）

　　見知らぬ吸血鬼がいるなら戦うまでだお。
　　もし、やらない夫と蒼星石しかいないなら、事情を話した上で、やらない夫を
　問い詰めるべきだお。

　　真実がどうであれ、今は突入あるのみだお！

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688 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:33:54 ID:p.6oOeto [80/114]

　　■　■　■　■　■　□　□　■　■　■　■　□　□　■　■　■　□　□　■　■　□　□　■

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689 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:34:23 ID:p.6oOeto [81/114]

【　廊下　】

　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼‐
　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼‐
　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼‐
　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼‐
　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼‐
　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴‐
＼　 |　　　　　　　　　　　　　　　　| ┌――─────┐ | ┌――─────┐ | ┌――‐
＼＼|　　　　　　　　　　　　　　　｜ l＿＿＿＿＿＿＿__,|　|　l＿＿＿＿＿＿＿__｣　|　l＿＿＿
　＼|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|＿＿＿＿＿＿＿＿＿__|＿＿＿＿＿＿＿＿＿__|＿＿＿＿
　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　┼───────

　　幸いにして玄関のカギは開いていたお。

　　特殊警棒を構えながら、静かに、久坂家の廊下を歩いたお。
　　明かりがついていたので、あちこちにぶつかるおそれはないお。

　　靴は履いたままだけど、そこは勘弁してもらうしかないお。

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690 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:35:00 ID:p.6oOeto [82/114]

　【　洋風の廊下　】

　　　　　　　　　　∫　　　|
　　　　　　　　　　∫　　　|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 O。　　|　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　ヽM/　　;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　 /| |　　;;;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　;;;/,|　|　　 |　　　　　　　　　 |
　　　　　　　;;;/ |　 '|　　;;|　　　　　　　　　 |
　　　　　　　 ./ '|　　|　　;;|　　　　　　　　　 |
____＿＿___ （⌒）⌒）⌒）＿　　　　　　　　　|
}{}{}{}{}{}{}{（⌒（⌒（⌒）⌒）}{'＼＿＿＿＿__,,|
￣￣￣￣ヽiil iil iil iil iil /￣＼＼＿＿＿＿|__　　　　　　　　,,,|
＿＿＿＿___""''""''""''　＼}{}＼＼＿＿＿___|__　　　　　　::;;;;|
　　　　　　　　　　　　　　　＼}{}＼＼＿＿＿＿|__,　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　 |}{＼}{}＼＼＿＿＿___|___　　　::;;;|
　　　　　　　　　　　　　　　 |}{}{}{＼}{}＼＼＿＿＿＿|__,　　　|
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　　さらに進む。

　　妖気はまったく感じとれないお。ただし、人の気配もしないお。

　　あたりは、どこまでも静かで、まるで廃屋を行くかのようだったお。

　　この時間なら、蒼星石もやらない夫もたぶん家にいるはずだから、やはり
　この様子はおかしいお。

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691 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:35:45 ID:p.6oOeto [83/114]

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　（二人を見つけた時には、すでに吸血鬼に殺された後で、そこには無残な惨殺死体が
　転がるばかり……なんてのは勘弁だお……）

　　不安が募る。
　　気が焦る。

　　だけど、慌てて足音をドタドタとたてて突っ込んでいって、吸血鬼が本当にいたら
　目も当てられないから、あくまで静かに、物音を立てないように歩いたお。

　　ランペルージにやられた時と、それから長岡さんと一緒に働いたときの教訓だけど、
　どんなに焦っていても、妖怪退治の際は襲いかかるまで自分を捕捉させないことが
　絶対に必要だお。

　　「これからお宅を襲いに行きますお」と宣言するかのような音を立てて、突っ込んで
　いくなど論外だお。

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692 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:36:03 ID:p.6oOeto [84/114]

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　　注意深く進む。

　　やがて、あの地下室のあるあたりに来たころ……

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693 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:36:22 ID:p.6oOeto [85/114]

　　ｿ　　ｖ'从 i　　　ー≠―''＾"´　　　　i　　　　　　　　　　　　 /　 /ﾍ!　　　　i
　　　| }　　　　＼　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　　 / ／　　　　/
　　　|i! i、　、　　＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-≦イ\-! 　　　 ,'
　　　i'　ヽ、　ヽ　　ヽ　　　　　　　 ,, --‐-- 、　U　　　　　　 // |　　　　 /
　　　　　　!ヽ　　　　ヽ　　　　　　　ｲ,'⌒＾⌒ヽi　　　　　　　／/　.i!　　　 /!
　　　　　/ 　＼　　　ﾊ＞　　　　　 i! 　　　　　ｊ　　　　　／　,'　 /! 　 ,ｲ/、!
　　　　　〉、　　　iﾊﾐ、ヽ、　ヽ、　　ヽ　　　　ﾉ　　　イ　　 /　 / ハ / ´　!
　　　　　　ｔ=＿＼　　ｔ＞＝‐　　＞｀i ) ｀ー　-ｧ'　＜　　　ﾉ　 /　　ﾚ　　 i
　　　　　　｀ｙ　ーヽ　＼　 ',　　　 ! !＞-　＜　　　　　　/　／　／__ノ　 >
　　　　　　　 i　ヾ　"、　ﾍ、 ',　　　　　　　　　　　　　 /i／　　/　　　／/

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　　蒼星石の、悲鳴のような声が、どこかからか漏れ聞こえてきたお。

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694 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:36:43 ID:p.6oOeto [86/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼　　　　　！？
　　　　　　　　　　　　　／　u　　　 ,===ヾ、　　ノ=ヽ、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 {　{;;;;iij;;;;i　　i;;;ij;;;|i
　　　　　　　　　　／　　　　　　　ゝー-‐'"´　｀ー´ヽ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　''"⌒'{　　　　人　　　 }
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　ヾ、__,／;;;;;ヽ、__ノ
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::/
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　　　　　　　　　　　＞三三三三》:.::.:.:..＼　／´/

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　　焦る心を抑え、耳をすませる。

　　また、蒼星石の声が漏れ聞こえてきたお。

　（地下……かお？）

　　そっとそちらのほうを窺うと、あの錠が外されて、古い扉がやや開き気味になっていたお。
　声はあそこから聞こえてきた気がするお。

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695 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:37:00 ID:p.6oOeto [87/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　／
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　　静かに、集中して。
　　特殊警棒を構えたまま、静かに静かに階段を下りていく。

　　一番下まで降りて、そっと、中をうかがうと――

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696 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:37:18 ID:p.6oOeto [88/114]

　　　　　　　　　　　　　/￣ヽ　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　│　　│　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
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　　　　　　　　　　　　　ヽ＿/ 　　　　　　　　　　　　　ヽ＿/
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　　　　　　　　　　　　　ヽ＿/　　　　　　　　　　　　　ヽ＿/

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|ｌ!ｉ│iｌ　 |ｉ　　　 /:::::::.:.:.:.:.:. : : : : : : :　:　:　:　　　　　　　ヽ　　　　 lｉ|　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│iｌ　 |!:　　　 /::.:.:.:.: : : : :　:　:　　　　　　　　　　　　　　　 :.　　　　ｉ|　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
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|ｌ!ｉ│iｌ　 |　　　 |:.　:　　　¨二ﾆ=ミ＿ノ　廴_ 幺=ﾆ二¨　　　 |　　　　　 |　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│iｌ　 |　　　 |:　　 ≫ ´　 __　　Ⅵ :ｉ|ｉ:ｉ|ｉ: Ⅳ　　__　｀ ≪　　 |　　　　　 |　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│iｌ　 |　　　 |　　 i{　　 ( ・ )　川　li|il　从　( ・ ) 　　}ｉ　　|　　　　　 |　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│il　　　　 |　　　 ≧=― ‐=彡　　　　　ミ=‐ ―=≦'ﾞ　　 |　　　　　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│iｌ　　　　　 :.　　　　　　／　　　　　　＼　　　　 : /　　　　　　　ｌ|i│ｉｌ!ｌｉ|
|ｌ!ｉ│ｉ!　　　　　　ヽ　　　　　/　　　　　　　　　ヽ　:　:　: / 　　　　　 l|i│ｉｌ!ｌｉ|
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　　――ッ！！！！？？？？

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697 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:37:48 ID:p.6oOeto [89/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐: : : ￣￣:: ｀　ヽ､　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠: : : : : : : : : : : : : : : : Ｚ　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ｧ'／: : : : : : : : : : : : : : : : : : ､: ｀ヾ　　　　あ……笙･
　　　　　　　　　　　　　　　':: : : : : : : : : : ⌒＼: : : : : : : : ＼:: :: : 　
　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : /.ハ: ヽ: ヽ: _lヽ.: : : !: : |: : : |　　
　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : /ﾊ: : : : ﾊ: : : : : ∧: : : i!: : : : ﾊ　　　　　　はぁ……ん笙･
　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |
　　　　　　　　　 |: : : : : /　ｨ'''"、＼|　　ｨヾ!ー|-!　ﾉ!: : : : /l　　　　すごい……大きい……笙･
　　　　　　　　　　　　　 l: : ／ﾉ! ｙﾃ≠ｋ　　　　ﾃｾ＝＜i'/: : : ﾉ l　
　　　　　　　　　 {: ! ヾ, {弋{じfj｀|　　　　　{じfj ﾉ/ !: : : /: /　
　　　　　　　　　　　　 !:.ヾ!: i : : ｒっヾ=''　　　　　｀＝'っ/: ノ: /　　
　　　　　　　　　 : }: : ﾊ: ノヽ/// 　　、　　///　シ:／: /　　
　　　　　　　　　　　　　 !./: i!: ヽ｀>ヽ、　　 f⌒ヽ　　,, ´/´ヽ　　　　
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698 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:38:13 ID:p.6oOeto [90/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　　　　　　　　　　　　　　｀　､ヽ　　　蒼星石の中も
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ　　　温かくて気持ちいいだろ
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
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699 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:38:29 ID:p.6oOeto [91/114]

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　　　　　　　　＼　　　　　　　ﾞ‐ l､　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞヽ,,_　　　　￣./ 　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　ﾞ'-,,.　　　._,,,,,＿_　 .| ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-..、　/　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　＞''"　　　　｀'''ヽ、.ヽ　　　　　　　　 -'''''　　　　　　　　　　｀)′　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　ﾞ'-..ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　ｌ,
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 i　　　 .｀'-､　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　│　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　 /゛　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　,|　　　　　 ,．　　ｌ　　　　　　＼　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　｀'ｯ..、
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　　　　　　 /　゛　　　　.″　　　　　!　　　　　　　　　｀'､　　　　　　_、　　.!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　│.ﾞi 　　.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 !
　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　!　　　　 |.ｰﾍ　　 . ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　l.　　　　! !､.'/'―､　!　　　　　　　　　　　　　 !　　ズブ……
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　ｌ　　 ./ .,,/--ﾐi ､. ｌl′　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　i′　　　　　　　　　　　　ｌ,　.lﾞ　/ ::::::::::::ﾞﾞ'!｛　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ'-.ｌ､|::::::::::::::::::::::::.!　　　　　　　　　　　　　 /　
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　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　/ 　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞｌ,:::::::::::::::::::::::::.ｌ,,_　　　　　　 .,,, ‐´
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　/ 　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ:::::::::::::::::::::::::ヽ｀ﾞ^'''''''''''"゛
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　　　　ｌ　　　　　　　　　 / 　　　　　　　　　`'ｰ ,,,　　　　　　　　　　　　／｀' ／
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700 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:38:46 ID:fMN3NhJI [1/2]
ああ……見ちゃったか……

701 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:38:51 ID:p.6oOeto [92/114]

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702 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:39:31 ID:p.6oOeto [93/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.:.､.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:＼.:.:.:.ﾍ　　　..
　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　 ,′.:.:.ﾊ､.:ヽ.:.:.:.:ヾ:､.:、.:＼.:.:.:.:`ニ=ｷ　　　　　はぁ……笙･
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 iﾊ.:i.:.:.い､＼.:`ｰ-ミ:､ヾ､__ﾍ.:.:.:ヽ.:.:.ﾍ　　
　,, ､ ,　　　　　　　　　　　　　　　　 !.:i.:l!.:.:.i.:l.:.ヾ､ヾ､.:.:`匕´ﾊﾘ.:ヽ.:.:.ﾊ.:.:.l、
ィ.iﾞ　 .,／　　　　 l　　　　　　　　|!l:ﾊ.:.:.:､ヽィニ丶ﾞミ丶ｨﾁ示ミﾊﾉⅥ:.ﾊ　　　　　　　　　入ってる……笙･
.i. !　 |　　　　　　　　 ` .`,,..､_.　　 !ﾊ:i|.:.:.:ﾊ`:,ｲ示ﾐ　　　弋zﾂⅨ.:.:}!.:从
.|. レ'ﾞ　　　　　　　　ヾ {　　　ｰ=il ヾﾐ､ヽ.:ゞ代zﾉ　､　///　/八.:|i Ⅳ　
ﾙ'’　　　　 ,.へ、　　＿　＼. 　　ヽ　ﾞ弋:､.:ﾐ`////　.　　　　ｲ从.:八!i
　　　　　 /　　￣￣　　￣ﾞヽ、　　 l:: ヾ､ゞﾞミｰ- ､　ゞノ .．’{:､ﾐﾍ{　ﾘ
.　　　　 /　./'γ 　　　　　　 `ヽ、　ヾ／　ム＼/　　　　　 /,'　　　￣ﾞヽ
.　　　　　}　.}　.!　/　　　　　　　　　　ﾞヽ.／　,.─　　　　　　／:　　　　　　　　｀
　　 i.　　レ'　 |　|　./　 r--‐'ヾ、　　　　ﾞヾﾞﾝ"￣　　　　　　 _,`- ' ﾞ　　　　　i
　　　l.　　　　ヽ,{　{.　〈　　　　　ヽ、　　　　 `ヽ、 ,.　_,,.- ' ﾞ　　　　　　　　　　i
　　　 i. 　　　　 `´ヽ,_）　　　　　　ヽ、　　　　　ヾ¨　　　　　　　　　　　,i
　　　　!,　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　 __　　 //
　　　　　`　.,　　　　　　　　　　　　　 |　　ヽ、　　　　　 _,,.. -‐ ' ¨~l丁¨ヽ､_,,.ノ ,.'ﾞ-‐'ﾞ、
　　　　　　　　`　、　　　　　　　　　　 |　　　　 i' ‐-　' ¨ 　　　　　　　　　　／　　　　ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ｌ　　　　,人. 　　　　　／　　　　／　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ﾍ, 　　　　　ﾍ` ‐ッ'　　 ` ‐- -‐　' ﾞ　　　／　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　! 　　　　　ﾍ. ,'　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　l.!　　　　　　　　 ,. '´　　　　　　j　　　　　　　　j
　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　 ./ 　　　　　./
　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　',　　　　　　／　　　　　　　/ 　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　 ', ＿_　　　／　＿＿＿＿__... ‐/　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　'　　　￣￣￣　　　　　　 .l　　　　　　　　./
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! 　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -─┤　　　　　 /
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　 j　　　　　　　　　　　　　　 /i　　　　　 ./
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　　…………そこにあった光景は…………。

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703 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:40:19 ID:p.6oOeto [94/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　､　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/._ノ'′　　`､　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　● ）　　　　"ｰ--　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　///　　　　（●　）　　　/
　　　　　　 _ ＿_　　　　　　　__,.|　l　　　　j　　///　　　／
-　.　　 ,． "´　　　　｀ヽ　 ,.． '"´　　l,　‐' .-‐"ヽ.　　　　)　　/
　　｀ヽ{:ｉ′　　　　　　　　 }´　　　　　 i }　　　` ー-`ｰ-一'′/ｰ＜
　　　　:.}　　　　　　'"´￣ - ､　　　 /|！　　　　　　　　　／//　　｀丶､
　　　　 :.,　　　　　　　　　　　ヽ　　 :..! :`:...、　 _,,.. -‐ '´ / /　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　､,．-―――- ．. _　　　
　　　　　　　　　　　　ﾉｨﾆｨ=彡”¨´￣｀''≧=ｘ
　　　　　　　　　　　イ: : :.:|: : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ
　　　　　　　 Y彡": : : :,ｲ|:i: : : : : : : : : : : : : : : : :.ヾ:､
　　　　　　　 Уｨ: : : : :/: :|:|: : : :i: : : : : : : : : : : : : : :ﾍヾ、　
　　　　　 //: : :/: :./ｨ/{!:|: : : ﾊ:、: : : : :ヽ: :ヾ: : : : ∧ `:
.　　　　 //: : :/: :,ｲ/:バ:.ﾄ: : :{ ヾ:､:ヽ: : : :.ﾍ: :ヽ: : : : } i }:.i
　　　　　 .:ｲ: : :ﾑ-ｧァナ‐}十ヾ:ﾍミxヾ: ＼: : ﾊ: :ﾊ: : : :.! ﾘ:.|
.　　　　　{: !: : 彡' /ｲ__　ヾ:､　ヾ:ヽヾ`ｬｰz㍉: ヾ: i: : : i:!/: ：
　　　　 i:.{: ｲ:{ヾｒﾁ芋ミx` ヾ:　ヾ:.､ __ヾ:i｀ヾ:.ヽﾄﾊ: : i:.} : ﾘ
.　　　八:ﾄ: !:|　i {c::{;):i}` 　 `　　 ';イ示ミｘ､ヾ:.:ヾﾊ:ﾉ:ﾉ:.:/
　　　　　　j|:ヾ:{ 　ゞﾆン　　　　　　 {!::r;;x::ﾃゞY:.ゞﾊ/: :/
　　　　　　ﾄ:､:ヾ:､ ../////　;!　　　　弋z:_ン　 }!.:.ﾘ: /:/
　　　　　　|.:.:.:i:{ `　　　　　　　　　 /////　 .. ,ｲ: :/:./:/　　　　
　　　　　　|: :ん:ヽ　　　　､　　　　　　　　　ｨ彡イ:.ｲ:/
　　　　　　|:.:ｲﾊハ＼　　　　￣　　　／;イ: :/: |{
　　　　　　i: ﾊiﾘ　 !:.| ヽ、　　　　　　　 .ィ::::/: :〃:.ﾊ!
　　　　　ヾ! i′　リ　ヾﾊｔｒー…　　´　 {::ｲ::;ｲﾊ::::{ }
　　　　　　　{　　　　　　}ﾊﾘ　　　　　 i〃:/|ハ:/
　　　　　　　_　 _＿_/´￣'ィ｀"＾｀ヽ、　　ヾ:/　ソ′

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　　幼馴染の女の子が、男に……しかも兄に抱かれて、うっとりとしている、
　まるで悪夢のような……いや、悪夢そのものの、光景……だったお……。

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704 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:40:38 ID:p.6oOeto [95/114]

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　（こ……こ…………これは、一体……ッ！？）

　　ただひたすらの、驚愕。それ以外の何もないお。

　　何があろうかお。

　　やる夫は声もなく、棒のように立ちつくし、呆然と中をただ見ていたお。

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705 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:40:55 ID:p.6oOeto [96/114]

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　　　　　　　　　　　　　./　　　　　　　　　　ﾍ　
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　　　　　　　　　　　　　.|　　 __,ノ　ヽ．__　　 |　
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　「すごく色っぽいぞ、蒼星石。

　この部屋なら声は外に届かないし、もっと声を出しても大丈夫だろ」

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706 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:41:37 ID:p.6oOeto [97/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「んっ……やだよ……。そんな恥ずかしいこと、しない……。

　僕、そんなエッチな子じゃないもん……」

　　蒼星石が、やる夫も聞いたことがない、甘えた声で、やらない夫に言う。

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707 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:42:00 ID:p.6oOeto [98/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「隠すことないだろ。ほら、オマンコだってこんなに濡れてる。
　感じているなら、感じていると素直に言えばいいだろ。

　な、一緒に気持ちよくなっていこう」

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708 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:42:15 ID:p.6oOeto [99/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿《＿　　ﾉ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:./: . : ,: . : .j: . | : |: . : . : . ', : . : ', : . :',',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:j . : . | : . : |: . !: :j, : . : . : .ヽ: . : j: . :.:|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:| : . : | : . :/: .ﾊ : lヽ : . : . : . ',: . |: . : |:|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:| : . : |: /: ７¨＿ヾ､　　ヽィチj ﾌ: ./ |:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|!: . : j/; イ下刈　＼,　　ヒリｲ:./:..:.|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Nﾊ: . : .ヽ　　`ｰ'　　　　　　 ,,,,, j:/: . :.|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣ヽ : . : :＼　''''　　　_'_　　　ｲ: ./: /ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼: . : .ヽ　　　　　／ j: /!:/ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　　ヽ : .ﾊ.＞　　-　''　　 |/ j:ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 i　　＼:j-､　　／　　　　　',

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「……うん笙･

　優しく、お願いね？」

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709 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:42:35 ID:p.6oOeto [100/114]

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　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶
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　　　　ヽ/　　　　　　ｉ　ｲ::::ヽ l　　　　　　丶
　　　　　ヽ　　　ヽゝ_ゞ::ノ '　　　　　　 ',
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　　　　　　　　　ヽ　ゝﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　　ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　　　　　　　　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
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　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「大丈夫。今までだって、俺はずっとお前に優しかっただろ？」

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710 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:42:49 ID:p.6oOeto [101/114]

　　　　　　　　 Vr'´.:::::::::::::.:.:., 　　- ─‐──‐‐- ､/
　　　　　　／.::::::::.:.:.:.:., ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　＼.::::::::::,ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾊ
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　　　　　　　　　　/::::::::::::::.!:::::::::::::::::::/::::/:::::::::::: | 从::i}:|::::!
　　　　　　　 {:::::::::::::::::|::::::::::::::://／　ヽ、:::/}气ﾉ:::i};i}:|
　　　　　　　 {i::::::::::::::::|:::::::::::::/,ｨ'::丁i 　 V'　{b::{:::ｲl ｌ|
　　　　　　　　 ∨:::::::::::::!::::::::イィip::::::ﾑ　　　ゝ'ヽ:／ﾘ
　　　　　　　　　　＼:::::::::ヽ:::::::乂戈ﾏﾂ'　　　　　/!//
　　　　　　　　　　　　ヽ:::::::::.＼::::::＞ /!/ 　　_ _　 / i､|
　　　　　　　　　　　　　ﾑｲ:::::::::｀:::＞　　　　｀´ /{ / `
　　　　　　　　　　　　〉ヽ)ヾ）从}ﾉー==ｧ―イ::;、/
　　　　　　　　　　　＿_ ノ　 .ｒ⌒/ノ〈´￣　　｀ーV l/
　　　　　　　　 iﾉ　 /　/.　 //ノ　〉　　　　　　　＼

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「……うん笙･　そうだよね。

　……大好きだよ、やらない夫さん。
　こんなに好きになれたのは、やらない夫さんだけ」

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711 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:43:24 ID:p.6oOeto [102/114]

　　　　　　　　　　　　　￣￣　､
　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　＼
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　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶
　　　　 l　　　　　　／￣　　　　　　丶
　　　　 |　　_＿　　　　　　ヽ　　　　丶
　　　　ヽ/ 　　　　ｉ　イ｀丶 l　　　　　丶
　　　　　ヽ　　　　ヽゝ _　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　丶ｉｲ｀丶 l　　｀ヽ　　　　　　ヽ
　　　　　　　　ゝ　　,　ヽ _　　丿　　　　　　　　＼‐､-..､
　　　　　　　　　ヽ　ゝﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　　ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　　　　　　　　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
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　　　　　　　　　　　　　ヽ　_＿　ィ　　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「俺もだ、蒼星石。愛してる」

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712 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:43:37 ID:p.6oOeto [103/114]

　　　　　　｀ヽ、__ ゝ┐
　　　　　　　　 /!
　　　　　　,　 /　'、　　　　　　　 , ′
　　　　　　　　.:{　｛　　ヽ､、　　　_ .ノ
　　　　　　　　　　ヽ､_ ノ__　｀￣
　　　　　　　　　　　　　　 .::.
　　　　　　　　　　　　　　:::::i
　　　　　　　　　　　　 .:::::!、
　　　　　　　　　　　　　　::::ハ、
　　　　　　　　　　　 .:::/し⌒ヽ、
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　　　　　　　　　　　　　　:!:｡:.:.ノ⌒:j:.:',:. . .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　ノ

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　　そんなやりとりをして、二人は繋がったまま口づけを交わしたお……。

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713 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:43:51 ID:p.6oOeto [104/114]

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　　　　　　　　　　 .ｉ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　　ﾍ
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　　　　　　　　　　　ｉ　 : : : : : : : : : : : : : : : ､. : : : : ＿　　　　/
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　ノ'　: : : : : :　／ｉ　: : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　ﾍ: : : : : :　　　ﾊ

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　（…………なんて、ことだお）

　　二人はそういう関係だったのかお。全然、気が付かなかったお。

　　……やる夫は……そんなことを露知らずに、蒼星石が好きだと…………。

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714 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:45:04 ID:p.6oOeto [105/114]

　　.:.// ,'.:,'|:ﾊ:.| 　　|:.ﾄ";＞＜三三三三三三三三三三三三
　　//.:.十:i i-',:{ _　　!:.!　!.:.:.!.:ﾄ::ヾ:"＞＜三三三三三三三三三
　.//:.:.:.:|:..! i!. ヾ', ￣.',:|　|.:.:.|:.:',ヾ:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.゛''ー―――――‐
／.:.:.:.:.:..l:.!__二ニ ‐ 　';.　ｌ:.:.:l:.:.:',ヾ:.　＼.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:.
　.:.:.:.:.:./|:|彡芯示≧ﾐ､!　i:.:.:i:.:.:.:', ヾ:.　弋￣￣.:.:弋　-.:.:_:.:.:.:.:.:
　.:.:.:.:.:.i l:.!　i!つ;;;;;;;;;;;;ﾍ　';.:.', ヾ;:',　ヽ. 　弋―.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:..:.:
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　.:.:.:.:.:..:}　　　　　　　　　　＼　　　ゝ,,　　.ノ　＼:.:.:.:.:
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　「ねえ。また『あれ』して」

　「なに、またか？　あまり勧められないだろ。いくらこの場限りの効果だとしても、
　あれは体にあまりよくないだろ」

　「大丈夫だよ。もう調子も元通りだもん。
　ね……お願い。
　あれをされてるときが……初めてのときみたいで、一番、やらない夫さんのものに
　されてるって実感できて、嬉しいんだ」

　「しょうがないな。これで最後だぞ」

　　やらない夫がそう言った次の瞬間。驚くべきことが起こったお！

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715 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:45:53 ID:p.6oOeto [106/114]

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　　やらない夫の口から尖った犬歯が現れたかと思うと、やらない夫は、それを
　おもむろに蒼星石の白い肩に突き立てたんだお！

　　突如として、立ち込める妖気。

　　それは、確かに、さきほど感じた吸血鬼の気配だったお！

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716 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:46:18 ID:p.6oOeto [107/114]

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　　　　　　 |:.l : l:|: : :|: :l: : :| 　___＼ヽ: : :＼,ｨぅ千刃｀i7|＼|: : l: :.|
　　　　　　 |: l.: l:|: : :ｌ: :ｌﾚイfう于圷ヽ{＼ : ヽ弋//つ　| :/|: :,': /|
　　　　　乂!:从: : :',: `く{.戈//ソ　｀　ヽ､_:＞￣　　ﾉｲ: :∨:∧|
　　　　　　　　ヽﾄ:＼: :`ﾄ､＼￣　　　　 }　　　/l/l/ｌ　,' ': : : :/　ヾ
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　　　　　　　　ヽ_入　＼: :ヽ:＼　≧=ｰ z＜.　　 |／　　　　 |__,ﾉハ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　「あ……ア……笙･　アア……やらない夫さん、好き……！
　大好きだよ……！　好き……！」

　　蒼星石は、自分の血をやらない夫にすすられながら、まるでうわごとのように、
　好き、と繰り返す。

　　やらない夫も、それに答えるかのように、蒼星石を抱きしめる。

　　だけど、今、重要なことはそこじゃないお。

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717 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:47:16 ID:p.6oOeto [108/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（あの野郎！！　吸血鬼だったばかりか、蒼星石を下僕にしていたのかお！！）

　　扉を蹴り開けて中に飛び込もうと構える。

　　……けど、いざ行こうとして……かろうじて、自分を押しとどめたお。

　　やらない夫とやる夫の間に、ちょうど蒼星石が来ているお。

　　蒼星石をやらない夫から引き離さないことには、警棒で蒼星石の頭を割りかねないお。
　いや、それ以前に、下僕となっている蒼星石はきっと、やる夫にあのオオバサミを
　向けるお。
　　あれを避けながら、しかも蒼星石に怪我をさせず、やらない夫に勝つのは……
　無理だお。

　　せめてやらない夫が蒼星石から離れ、かつ、一対一にならなければ駄目だお。

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718 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:47:38 ID:p.6oOeto [109/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　歯を食いしばる。

　　今、激情に任せて扉を蹴り開け、中に飛び込むことができればどんなに
　いいことかお！！

　（我慢！　我慢だお！！　やる夫がここで倒れたら、誰が蒼星石を
　解放できるんだお……ッ！！）

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719 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:47:51 ID:p.6oOeto [110/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（やらない夫……！　この場は引くけど、後で必ず戻ってきてやるお！！）

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720 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:48:23 ID:p.6oOeto [111/114]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　　ありとあらゆる激情を無理やり押さえつけて、音を立てないように、やる夫は
　その場に背を向けて、そっと階段を上る。

　　一段。また一段。

　　……上っている最中。

　　後ろから、男の野太い咆哮と、蒼星石の甘い嬌声が、聞こえてきたお。
　それはきっと……、二人が絶頂に達したことを伝える、響きだお。

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721 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:48:40 ID:p.6oOeto [112/114]

　　　　　　　　　　　＞-ﾍ -‐⊂⊃ 　　　　,　　　 ⊂⊃‐-＞=イ
　　　　　　　　　　 .（　＿ﾉ　　　　　　　 |i　　　 //　　人　＿)
　　　　　　　　　　　（ ´「　　　　　　　　　　.||　　〃　　　　.ﾊ（
　　　　　　　　　　　人ｌし　　　　　　　Ｊ.!|　　 |ｌ　　　　.しl　〉
　　　　　　　　　　 .',　 | l　 {,　　 .、＿　＿八＿_ ｣Ｌ.、　　　　| :|
　　　　　　　　　ﾉ│　ヾ、／ ,v─‐ｒ──‐ﾊ r‐v、＼＿_,,,,ノ /
　　　　　　　　　　　ヽ､ｌ　　人（ |ｌ　_｣∟ニ二｣,Ｌ.、ﾉノ／（/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣´　　　　　 l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　　　　(ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_｀　┐-イ´

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　│《萩野やる夫》
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　（……ちくしょう…………ッ！！）

　　涙がこぼれる。

　　だけど、それでも……やる夫は、その場を離れたお。

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722 名前： ◆GI8xWOz4Ko[saga] 投稿日：2010/11/24(水) 21:48:53 ID:p.6oOeto [113/114]

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　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫と蒼星石は吸血鬼と戦うようです

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～　Epi.8　悪夢　～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Epi.9　につづく

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723 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:50:43 ID:KVkSYBPY [1/2]
乙

724 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:50:47 ID:7ghX5LOc
乙でした。
やる夫…よく耐えた

725 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:51:06 ID:GT6AEYic [3/6]
登場人物誰一人幸せになれる気がまるでしねえ　ORZ

726 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:51:22 ID:fMN3NhJI [2/2]
乙でした
まさに悪夢……

……本当に下僕なのかな？

727 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:51:22 ID:LKjc0.iI
投下乙
何このトラウマスイッチ／(＾o＾)＼

728 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:51:43 ID:GT6AEYic [4/6]
一番大事な事書き忘れた、乙でした～～、次あたりでラストですかねえ

729 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:52:26 ID:59zJn14o [3/6]
乙でした
なんかもう今回の話は全部やらない夫の計画通り！な気がするｗ

730 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:55:10 ID:NMNm0sWw [4/4]
乙
やる夫、勝ってくれ…！！

731 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:55:16 ID:mS6wuWaw [1/2]
乙でした

解っていたとはいえ蒼星石のNTRはつらい……

732 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:56:40 ID:9fTNjgsI
乙
声が聞こえないってわざわざ言ったこととか
バレるかもしれないのに妖気出したりしたので
やる夫に見せることまで全部やらない夫の狙いだった気がしてならない

733 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 21:58:59 ID:VVVptaqs
なるほど、絶対どっかで最初の方にやる夫に電話してきた退魔士派遣会社頼る事になるんだろうと思ってたけど。
こういう展開できたか。

734 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2010/11/24(水) 22:02:07 ID:59zJn14o [4/6]
今回のやる夫の心の動きが共感できてよかった。
真実と友人を信じたい気持ちの狭間で揺れ動いてる所に現実を突きつけられるっていうね…たまらんわｗ

Category: ■エロ・18禁作品 - 【R-18】やる夫と蒼星石は吸血鬼と戦うようです | Comment(0) | Trackback(0)

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