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07/17
盲目外道やる夫──地獄の千両箱 第03話
2011/07/17(Sun) 20:31
156 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/16(土) 23:45:54 ID:chIlceE. [24/47]┌────┐
│浅草 │
└────┘
／_l'ﾚ'-<＿〉:|::::二ｌ|／,／｀:::::::::.. "'＿,,ｨﾆ´入_|＼li:::.. ..:ﾞ`- ､ヽ
ミｇ､::ﾛ´r-､':::|_::::::: |／`:::::::::::'':::::: `ーｪ_ｒ:::::::::::>i-|::::..＼lilr────
ミoミ／￣￣／]::::::::::::::...::::::::::::::::: ￣`_ーz,,＿.:::::_ﾉ:::r─'ｰ|:::＼､￣￣
: : ::..）） |::| |:|iiiヽl| ﾆﾆﾆﾆ二二二二二ﾆﾆﾆｺiiii|::!├──‐/: . : ., -'": .: ._,,.-‐''": : : :
: : :::ノノ-------|::| |:|/////|::|ﾆl|i|____ri l|國|::| iiiiiiﾚ'i￣￣￣ |, -'": ._,,.-‐''" |: : : : : : : :
｀ﾞ''ｰ-､,_i |::| |:|/////|::|=ii|i|{ﾆ} r-|料|::| ／ ! ｨ==二二二二| i:::|__,,.. -‐ '
: .: .: .: .: .}ﾆﾆﾆﾆ:Li::: |ﾄ､///|::|i__:|i|ｪｪｪｉ ﾞ |理|::|｝,／|_|___／.._ヽ_ヽ_ヽ_ヽ_ヽ| |:::|: : : : : : : :
------ '二二二ｺ:::::|:i|ﾞ'ｰ､,|::|iii :|i|(;)_(;)_(;)_(;)└iｉ|::|':::::::::!ニ二二二二二| l二| |:::|: : : : : : : :
, --ー -､=i=i=i|:::::::|:i| ＼ii|::|iii-|i|劦ｫ|i: : : i|ﾚ毳i|::| Eｺ|l r----------i | |--| |:::|ｌ=======
/ ,r ､ i.fififｉ|:::､,,,,,|ｉiiii |::|r-､,,, ｨｭ,-､,-､,-､,-､,:| l:ｉ:i:i| l,-､王王王王|,ｲ;;;ヽｉi| |:::|l=======
::t,ｉ,.-､_,＝､l l rｪｪ､〈ｲ;;} Eﾕ r'ﾆﾐ rｰ､ ぐﾘ r.^.i ,,,,,,, r'^;;)ハ} {ﾟ_ﾟﾘ r'､"`oﾉｉi| |:::|l=======
: :::i｀~'!.｀~´`ﾘ' {-r ﾘ ｲ/ }/ じノ--'ﾄ､rｰ-'ヽ rﾉ}ﾊ-'ﾄ､(-ﾟﾘ 〉-' ﾋ'ヽ/Vヽ / ヾ' ＿＿ ‐- .
:: ! fニﾌ.,ｲ' 冫^<}ヽ ┤Ｌ｣l }+i+i+lﾉ|__|ｪｏloﾉ 〉〉}| Ｌﾋｧ |ﾉ ： ﾉ{ {⌒ヽﾄ､／ ノ ''‐- ､
_r'=､,.='-‐i__l Ｖ/,ｲ ///|| Ｙ i'++i++|/∧{ Yﾉ∠/::||∧ | | | ： | | ＼__二二ソ)"rｰ-､
７ﾞl,.>‐`ｰﾆﾌ ヾ｀ｰ- ､ヽゝ | l----i' ﾊヽ 〉 Ｌ::ﾉ|Eﾖ |--' ｹｲ| |----|..==| |:::| {ヽ,;;;;} ｀
／ i i' ､ ─' .:.:.:.:.::ヽ . .: : ::ﾄー-''|:::::::::〈 ﾞ' }_} |::| |_____| lﾉ〈〈| | |::ヽ:::::| | |:::| 〉ｰ {､
┌──────────────────────────────────────────┐
│浅草は多くの穢多非人が集まり住む場所として知られ、 ..│
│穢多頭の浅草弾左衛門と非人頭の車善七が支配する土地である。 │
│ ....│
│そして浅草は江戸でもっとも賑やかな界隈でもあった。 .│
│見世物小屋がそこかしこに立ち並び、四つ目屋（今で言う大人の玩具屋）が店の裏からどこかの .│
│お内儀を招き入れる。浅草は江戸でもっとも金が集まる場所だ。 │
│ ....│
└──────────────────────────────────────────┘
157 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/16(土) 23:46:52 ID:chIlceE. [25/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （―） （―） ＼ 浅草は相変わらず賑やかですね、旦那。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●）
| （__人__） そうだな。みんな、泡銭をここに落としていきたくて来るから
| ｀⌒´ﾉ どこの店も客入りがいいな。
| ,.<))／´二⊃
ヽ / ／ '‐､ﾆ⊃
_r‐入ｌ ´ヽ〉
''"::l::::l;;/ __人〉
:::::::::|/| / `ヽﾍ､_
:::::::/::::| /::〉 〉〉::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.:::| /::::|ヽ //:::::::::|:::!
／: :／:|/:::::::|＼ソ /:::::::::::::i::|
158 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:47:27 ID:chIlceE. [26/47]
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡'
| |//| |/,r‐=ﾆ二三三三三三三三三三三三シﾍﾊj/ ＼ |
| ﾚ | ﾚ' 只 ｀ヽ. / | |
| | | | （＿） | | | |
| | | | | | | |
| | | |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿_＿_,| |＿＿ | |
| | | |二二二二二二二二二二二二二二二二二} | |
| | | |｜::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ||:::::::::::::::::::::::::::|＿_ | |
ﾄ､に| |二二二二} :::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::{二二二≧ | |
| [￣￣] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
| [￣￣] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
|_[＿＿] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
＿Ω＿＿＿
／|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|＼
|＿.|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|＿|_＿＿
／ ⌒ｗｗ⌒ ＼ ひとつせんめし、ありや、なきや。
／ （ ◎） （◎） ＼ なんだこりゃ？
/ ∵∴⌒Y__人__Y⌒∵∴ ｌ
| ｝r┬-｛ |
＼ `ー'´ ／
┌──────────────────────────┐
│やる夫のすぐ横にいた男が飯屋の看板を見上げていた。 .│
└──────────────────────────┘
159 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:47:55 ID:chIlceE. [27/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ⌒ ⌒＼
／ （ ―） （ ―）ヽ
l （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／ もし、それは一膳飯有り、柳屋と読むんじゃないんですか？
／ ヽ
／|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
| | 一膳飯有り柳屋 :|
| |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
,.r≦彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡≧z､
彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡'
| |//| |/,r‐=ﾆ二三三三三三三三三三三三シﾍﾊj/ ＼ |
| ﾚ | ﾚ' 只 ｀ヽ. / | |
| | | | （＿） | | | |
| | | | | | | |
| | | |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿_＿_,| |＿＿ | |
| | | |二二二二二二二二二二二二二二二二二} | |
| | | |｜::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ||:::::::::::::::::::::::::::|＿_ | |
ﾄ､に| |二二二二} :::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::{二二二≧ | |
| [￣￣] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
| [￣￣] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
|_[＿＿] ll || || |:::::::::::::::::|| ||::::::::::::::::::::| || || ll | | |
160 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:48:30 ID:chIlceE. [28/47]
__Ω＿__
／|;;;;;;;;;;;;;;;;|＼
|__|;;;;;;;;;;;;;;;;;|__|_＿＿
／ ─www─＼
／ （◎） （◎） ＼ ああ、なるほど。そう読むのか。
| ：： ⌒Y__人__Y⌒ ：|
/ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
＿＿＿＿
／ ＼
─ ─ ＼ 確かマザー・ファッカー夫さんといいましたか。
（―） （ ―） ＼ 座長さんはいますか？
| （_人__） |
＼｀ ⌒´ ／
/ ー‐ ヽ
/ ｀
161 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:49:03 ID:chIlceE. [29/47]
__Ω＿__
／|;;;;;;;;;;;;;;;;|＼
|__|;;;;;;;;;;;;;;;;;|__|_＿＿
／（ ◎） （◎）＼
／：：⌒Y__人__Y⌒：：＼ 座長ならもうじき帰ってくるはずだよ。
| ｝r┬-｛ | 今日は朝から湯島天神の陰間茶屋に行って熱を上げてる陰間の釜（尻）
＼ `,. -'"´´￣｀ヽ
／ （＿＿＿ | を掘りにいってたからね。あれからもう三刻（六時間）にはなるから
／ | 半刻（一時間）もしない内に帰ってくるよ。
（￣ |
￣￣￣| |
┌────────────────────────┐
│マザーファッカー夫は少しばかりオツムが弱かった。 │
└────────────────────────┘
162 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:49:40 ID:chIlceE. [30/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼
／ （―） （―） ＼ そうですか。それじゃあ旦那、少しばかり茶でも飲みながら待ちますか。
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
／￣￣＼
／ _ノ .＼ _,,
| （ ●） （●） |. ｌ;ｌ あいよ。
. | （__人__） | ＿,_,|,|_,
| ｀ ⌒´ |, ト-=y 丶
. | } ヽ `ｉ,￣‐^ｌ
. ヽ } ヾ~ ` ｉ,
ヽ ノ _ ヽ、 ;ｉ,
, ,ｉ y: ∧,,,__ ヽ、 ;ｉ,
,/: ﾍj /: : /: : : `ヽ､-x,,゜r ;ｉ
／: : ﾍ: : ﾍ /: : /: : : : : : : `ヽ `;ｉ ｉ,
,／: : : : : : ﾍ: : ﾍ /: : /: : : : : : : : : : `、'ｉ ｉ 、
_i: : : : : : : : : : ﾍ: : ﾍ/: : /: : : : : : : : : : : : Yrｉ ｌ,ヽ、
_,,,>: : : : : : : : : : : : ﾍ:/: : /: : : : : : : : : : : : /／ , ´: : :i
,y`: : : : : : ,ｉ: : : : : : : /: : / : : : : : : : : : : : ／: r- ／: : : ｌ
_／^: : : : : : : : : ｌ: : : : : :/: : /: : : : : : : : : : : : ／: : ｌ::::v'::::ｙ: : : : }
v=4⌒ヽ、: j: : : --,,,ｉf: : : : :/: : /: : : : : : : : : : ,,: : : 〈: : : ﾍ_,、::<: : : : /
163 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:50:23 ID:chIlceE. [31/47]
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
164 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:51:00 ID:chIlceE. [32/47]
┌──────────┐
│半刻後（一時間後） │
└──────────┘
|┃三 ガラッ
|┃ ＿＿
|┃ ／:::::::::::＼
|┃ ／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
───|┃ |::::/ （ ●）（●）
|┃ |::::> （__人__）
|┃ | ｀ ⌒´ﾉ いま帰ったぞ。
|┃ | }
|┃ ヽ }
|┃ ヽ ノ
|┃ _,,ゝ (,_
|┃ /´ `ー-一´｀ヽ
＿＿＿_
／― ― ＼
／（―） （―） ＼ お帰りなさい、座長さん。
／ （__人__） ＼
| ｀ ⌒´ |
＼ ／
／ ＼
| ・ ・ ）
. | | / /
| | / / |
| | / / |
(YYYヾ Y (YYYヽ |
（_＿＿ノ-'-（'＿＿_）_ﾉ
165 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:51:34 ID:chIlceE. [33/47]
＿＿
／:::::::::::＼
／::/⌒.Y⌒､＼
|:::/（ ） （ ） ((● ((●
|∪ （__人__） <::|
.|::: | | }
| | | } げっ！
ヽ |r┬-| /
__ヽ `ー'´ ノ__
＿＿＿_
／― ― ＼
／（―） （―） ＼ 期限はもう切れてるんですよ。
／ （__人__） ＼ 約束の六十五両、耳を揃えて返してくださいな。
| ｀ ⌒´ |
＼ ／
／ ＼
| ・ ・ ）
. | | / /
| | / / |
| | / / |
(YYYヾ Y (YYYヽ |
（_＿＿ノ-'-（'＿＿_）_ﾉ
166 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:51:59 ID:chIlceE. [34/47]
＿＿
.／:::::::::::＼
.／::::::::::::::::::::::＼
|:::::::/ ⌒~Ｙ~⌒:i
／）::i （ ー） （ー） その事なんですが、もう少し待って頂きてえんですよ。
／ .ｲ:::::>Ｕ （__人__）
. /,'才.ﾐ). `⌒´i
| ≧ｼ'ヽ. ﾉ
／＼ ヽ ヽ ノ
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （―） （―） ＼ 待って欲しいというと、何か返す宛てでもあるんですか？
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
167 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:52:32 ID:chIlceE. [35/47]
＿＿
／:::::::::::＼
_ノ ヽ、＼:::＼
（ ●）（ ●） ＼:::| 見世物は順調に儲かってるんですよ。
（__人__） <:::| ..／} なんせ一日四両の実入りがあるんですからね。
_ ヽ｀⌒ ´ | / / __
(＾ヽ{ ヽ { ./ / . ／ .ﾉ
(￣ ヽ ヽ i ヽ / 厶- ´ ／
.(二 ヽ i i |,r‐i ﾉ. ヽ / ／
ヽ ／ ノ ／ r一'´ ー ､ ￣￣￣）
i { ｲ―イ / .`ー―. ､＿_ .〈￣￣
ヽ. `ｰ '/ / /＼ ＼
`ー ' ￣￣! | ヽノ
168 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:53:04 ID:chIlceE. [36/47]
＿＿
／:::::::::::＼
／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
.|::::/ （ ●）（●） だから後一月ほど待ってほしいんです。
|::::> （__人__） そしたらすぐにでもお返ししますよ。
| ｀ ⌒´ﾉ 利息をつけて。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ ｍm
/ ￣￣￣ つﾉ
| |￣￣￣
＿＿＿_
／_ノ ヽ､_＼
／（ ─）／)（─）＼
／:::::: ／／／) ::::: ＼
| ／,.=ﾞ''"／ | 私はいますぐ返してほしいんですよ。私の金を。
＼. i f ,.r='"-‐'つ ／
／ ｉ _,.-‐'~ ＼
i ,二ﾆ⊃
169 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:53:41 ID:chIlceE. [37/47]
＿＿＿_
／⌒三 ⌒＼
／（ ─）三（─）＼ 貸した金を返さないっていうんなら、こっちにも考えがありますよ。
／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼
| |r┬-| |
＼ `ー'´ ／
＿＿
／:::::::::::＼
／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
|::::/ （ 一）（一）
|::::> u （__人__） いや、借金は必ずお返ししますから。
| ｀ ⌒´ﾉ
| }
ヽ }
ヽ ノ
_,,ゝ (,_
/´ `ー-一´｀ヽ
/ ､ , |
170 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:54:13 ID:chIlceE. [38/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ー) (ー ＼ 座長さん、あんた陰間の尻に入れ込んでるそうじゃないですか。
／ ,（─） （─）, ＼ 客に観音様（ヴァギナ）を拝ませて銭を貰ってるあんたが、なんで涅槃（肛門）に
| （__人__） | 銭を注いでるんですか。
＼ ｀ ⌒´ ,／
＿＿
／:::::::::::＼
／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
|::::/ （ ●）（●）
|::::> u （__人__） 私は観音様も好きですが、同じくらい涅槃も好きなんですよ。
| ｀ ⌒´ﾉ
| }
ヽ }
ヽ ノ
_,,ゝ (,_
/´ `ー-一´｀
171 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:54:39 ID:chIlceE. [39/47]
,.．¨￣￣¨丶
/ ＼
/ ヽ、::::::::: ヽ,
. /（ ─）:::::::::::, -‐ i なるほど。私も男だから確かに美童の涅槃は嫌いじゃないですよ。
i ::::: （ ─） | だから座長の気持ちもわかります。しかしね、それとこれとは話が別だ。
＼ (_,､ / 陰間に貢ぐ金はあっても、私に返す金がねえってのは間尺にあいませんよ。
＼ ` ‐' ＿_／
/ ＼
＿＿＿_
／ ノ ＼＼
／ （─） (─）＼ ま、そうはいっても無い袖は触れませんやね。
／ （__人__） ＼ そうだ、こうしましょうか。そちらのお嬢さん、こなた嬢を一月ばかりお借りしたい。
| ｀ ⌒´ | それで借金はチャラだ。
＼ /⌒)⌒)⌒) ／/⌒)⌒)⌒)
ノ | / / / (⌒) ./ / /
／´ | :::::::::::(⌒) ゝ ::::::::::/
| ｌ | ノ / ） /
ヽ ヽ_ヽ /' / ／
ヽ ＿＿ ／ / ／
172 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/16(土) 23:55:21 ID:chIlceE. [40/47]
＿＿
／:::::::::::＼
／::::/⌒Ｙ⌒＼
|::::/ （ ●）（●
|::::> u （__人__） こなた嬢ですか。
. | ﾉ この見世物小屋の実入りの半分近くはあの娘で持ってるんですよ。
| ∩ ノ ⊃ あの娘の観音様でこっちは商売してるんだ。
／ .／ ＿ノ
(. ＼ ／ .／_ノ │
＼ “ ／_＿_| |
. ＼／ ＿＿＿ /
_-─―─- ､._
,-"´ ＼
/ ヽ
/ ＿／::::::＼_ヽ
| :::::::::::::: ヽ それじゃあ、今すぐにでも金をお返し願いませんか。
l （ ─)::::::::::( ─) こっちはビタ一文負ける気はありませんよ。
` ､ （__人_） /
`ｰ,､_ ／
／ `''ｰ─‐─''"´＼
173 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:55:52 ID:chIlceE. [41/47]
＿＿
／:::::::::::＼
／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
|::::/ （ ー）（ー）
. .|::::> （__人__） ……わかりました。
| u ｀ ⌒´ﾉ おーい、こなたちゃん、こっちに来ておくれっ！
. | ｎｌ^l^l
. ヽ | ﾉ
ヽ ヽ く
/ ヽ ＼
174 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:56:21 ID:chIlceE. [42/47]
／´￣｀￣、: 、
l ﾞ:,: :ヽ
ヽ ',: : l
,-､ ; :./
∠ニ二: :￣:｀:丶､/: :.ﾞ:、 ;／
,.-''",. :'": : : : : :/: : : :｀:`: .＜
／_,,／: : : : : :/: :, '!: : :,::. : : : : : :＼
／／/: :./: : : :'⌒>' l: : :i:::. ヽ
/'" ./: :,/: : : : /:/ |: : l::ﾊ: ⌒ヽ: :!: i: :ﾞ:.
./:／i: : : : :,i∠,,_ l: :.!i. V |:::. : :l: :i: : i なあに、座長さん？
// .i: :,: : /｢､示ｆ l: :i! ≧ﾐﾊ:::::. :|: :!: :.l
/' l: :|: :ﾊ. r';;;;'| !: l ﾑ升;:ﾔ::::. !: :!: :i
|:,ｲ:./::i. ｰ-' ∨ r';;;;'/'ﾊ:::::ｌi: :!:/
ｌ' |/ｲ:{ 、 ｀`''・/:ﾊ:::j::i :/
l:::`:;...,,, ￣`ー /::::∧|:::i′ ／）
| ::::l:::ｌ::::＞┬┬､''ﾌ::::/":ﾞ::::/Υ／
| :::l::::l:／ ﾋ.-､/ /: :/:::::::::i´Ｙ´￣}
.l: :l,､< ｜ / i: :/'>､:::::ゝ ﾞ<, ノ
l:.l､ﾞ:､ﾞ:､｜ / ,,-i: /" ヽ/ ,'´
／ﾞ:{ ＼ヽﾞ:| /／,ｲ:/ ,:=/ ,'
┌───────────────────────────────────────┐
│小屋の横からひょっこり現れたのは十五～十六になったばかりの可愛らしい少女だった。 │
└───────────────────────────────────────┘
175 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:56:50 ID:chIlceE. [43/47]
＿＿
／:::::::::::＼
／::::/ _ノ ＼
|:::::/ （ ー）（ー）
.|:::> （__人__） すまないが一月ばかり、やる夫の市さんのとこに身を寄せてほしいんだ。
/ ｀ ⌒´ﾉ
／ ヽ ⊂二二￣＼
／ ＼ ⊂、' ヽ
/ ＼＿, ｀7 /
/ へ ＼ !/ /
| ＼ Υ /
| ＼ /
176 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:57:24 ID:chIlceE. [44/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼ こんにちは、お嬢ちゃん。
／ （─） （─） ＼ 私は座頭のやる夫の市、一ヶ月ばかしお嬢ちゃんを預かる事になったんだ。
| （__人__） |
＼ `_⌒ ´ ／
. ノ.,.,.,.,.,.,.,/ ）ヽ.,.,.,く
(;:;:;:＼;:;:／|_ノi ）;:;:;:;:)
. |;:;:;:;:ﾞ;:;:;:;:;:|;:;:;:|;:;:;:;:;:;:/
＼_;:;:;:;:;:;:;|;:;:;:|;:;:;:;:::ﾉ
＿＿＿
／）／ノ ' ヽ､＼
／ .ｲ '（─） .（─）＼ 安心しておくれ。おかしな真似はしないから。
. /,'才.ﾐ). （__人__） ＼ ただ、一月の間、一緒に他の村や町をドサ回りをしてほしいんだよ。
. | ≧ｼ' ´ ⌒｀ | お嬢ちゃんの観音様を拝ませて、賽銭箱に金を貯めるってだけの話さね。
. ＼ ヽ ／
177 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:58:14 ID:chIlceE. [45/47]
＿_
／￣｀ヾ:`:.
{ ﾞ!:.}
/:＼＿,∠.._
_,. _-_:‐:‐:|: : : : : : : : ､:｀: .、
／´: i.:,!: : :|:i!: ､: : :丶: : ヽ
／ｨ: : : ﾚ‐!: : |:!'⌒､: : : :＼: :i
.//./: : : ;1! ∨: l| ヽﾄ､: : : :ﾄﾞ:､
〃 !: : : { |Lz,,Ｖ:.{ ﾆ弐ｬ:､: : !: :! 給金はどれくらい出るの？
'′ |: :.;!:iﾊ｢l､,l ﾞ､:. ﾄイl' ハ: l: ;!
.ｌ :ハl:::i└' ` ￣ ・i::::ﾍ:|/
V ﾞ!::ﾄ..,,_ ｰｰ' _,.､ｲ:::::バ'
l::::|::::::;ﾌﾌ .,!'ﾞ'l: :/:::::i.
l!::|／/´>'゛_,!:./ｭ::::::l
l};.|i!.j /,,-''.ｲ/‐￢;::::l
./ ﾞ{､i!/''／// i::::!
/ _,,.-火ﾞ､ '"i i:::i
ﾞく ｨ､ ＼j ,l:::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼
／ （─） （─） ＼ 今の倍、五両出そうじゃないか。
| （__人__） |
＼ ⊂ ヽ∩ <
| | '､＿ ＼ ／ )
| |＿＿＼ “ ／
＼ ＿＿＿＼_／
178 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/16(土) 23:58:46 ID:chIlceE. [46/47]
/: ;.-‐￢‐-｀ヽ
,. . -: :‐. . .､∨ ﾘ
,. :':´: : : : : ; : : : : : : ｀`::ｰ: :￢__,,......_
,.': : : : :j.-'". . : : : , : : : : : : ,!､-―‐｀`ヽ､
. /: : :,: :': :,:. : : : : :,.:.:::; ': :/:. . . : /: : ｀ヽ
/:.:／;.ィ" : : : : ,∠_;.:': ;〃:. : : . /. ｀ 、
/:,:':／/: : : : :／,. /｀ソ/::/.: : ;./!: : : : : i. .
i/:': : /: :: : :/／ /;／ /::/: :,/:/‐l、!: : : :.!: : :i.
ｲ／: :j: : : ;ｲ ／ /:'.:／::/ .!:/:: : : : lヽ:.:.l
／,.:-/ﾞ!: :./::|:! /:／ ::/ j/:::: : : : l ｀､:!
／'".: : :ヽ!:/:::: l:! ｨ三=ﾐ /'" / ,|::.: ;!: : :l うちの座長よりずっと気前がいいわっ
,l: :.::::::::lﾍ:: : :l| ｨ=､ /,{::: ハ:.:i
/: .::::: :/:.ハ: : ﾍ ,､_,__ ・:ﾞ::!|:::/ l.:i
/: : .::: :/:/:::/'ﾞヾ: ﾍ::,.､ `ｰ' _,ノ:: ｌ:j:/ ﾘ
/: : : :: ://:::/ ,.＞ゞ､::｀::¨ﾌ刀:/::: : l '′
. /: : : : : 〃::/ ／'／´￣｀ヾ:ｼ'゛ |/::: : ,'
/: : : : : :/:::/ ,,:',,:' / ! |':: : :,'
/: : : : : :,'::/=''// / ､、 l !: : /
/: : : : : :.i/三ﾆ/ / ! ｀`¨ヽ､l: :/
/: : : : : : l ￣ l ヾ
179 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/16(土) 23:59:36 ID:chIlceE. [47/47]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼ 喜んでもらえて何よりだ。
／ （─） （─） ＼ それじゃあ、すぐに旅支度をしておくれ。
| （__人__） | 明日の朝一には出発するからね。
/ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
┌───────────────┐
│ │
│ ┌─────────┐ │
└──┼─────────┼──┘
│ ┌─────┐ │
└─┼─────┼─┘
└─────┘
┌───┐
└───┘
┌─┐
└─┘
□
190 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:45:10 ID:LoKQHtA6 [3/30]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:: :: :: ::⊂二⊃ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :⊂二⊃ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
, 'ﾆ￣ﾆヽ
（ 二ニ ﾆ）
／~＼ ヽﾆ＿ﾆノ ,／⌒ヽ
＼ ～ ､ ／⌒ヽ,, ／ ＼ ／ ^ヽ､
ヽ,,,／ ＼_ ,,,,,／ '''' ＼,,,／ ＼ ／
~ ー '
.(○)
"'" ヾ|〃 "' " "'" "'"'"
"'"" (○) "'"
ヾ|〃 "'" (○)
"'"'" ヾ|〃
"'"'" ''"'"
"'" . . (○)
"'" "'" ヾ|〃
"'" "'" "'""
`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,
;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:'':'`::;:;..,"'`',:''
┌─────────────────────────────────────────────────┐
│日本橋から続く五街道の一つ、甲州街道から朝一番に出立した三人が村についたのは日暮れの時刻であった。 .│
└─────────────────────────────────────────────────┘
191 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/17(日) 17:47:07 ID:LoKQHtA6 [4/30]
＿ ＿ ＿ ＿＿_
l＾lニl＾lニl＾lニl 十/i~i~i~i#::/______/~ヽ个卅
'"''^^^^"''"''"''"''"''"''"'''''''''''"| 田 | 田|'"''"''''
''"''"''^^^''"''''''''"''"~~~''"''～"''"''"^^^^'"""'"''"'～～'"''"''"''～
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼ それじゃあ、最初は綺麗なおベベを着ておくれ。。
／ （─） （─） ＼ それから口調は武家のお嬢様のように上品に喋るんだよ。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
192 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[] 投稿日：2011/07/17(日) 17:47:45 ID:LoKQHtA6 [5/30]
,,=＝二＝=､､
/ ヾヽ
ヾヽ
＿. .─:─-､_ l l
,-‐: : ￣: : `:‐´: : : : : : : : : : : :ヽ | /
／:＿:＿: : ‐: : : : : : : : /: : : : : : : : : :｀:ヽ.」/
-´‐´´ ／: : : : : : : /: : /: /: : : : : :, : : : : : : : :ヽ
／: : ／: : : : :/: :/l : :l : : : : :/l: : : : : : : : : : :ヽ
/: : :／: : : : /: /-´┤､/: : : :// l: :l: : : : : : ､: : : :ヽ
/ ／/ : : : : /: :/:/ l: /l : : : / ┤A: : : : : : :l: : : : :l
'´ l : : : : /: /l/､＿_|/ l : : :/ l l l`:､: : : : :V: : : :l
l: : : : :l: :/l |T::::::::ト l: : l l:l ヽ: : : : : : ヽ: : :l
l: : : ／:/: :l l lo::::::l V:/ テ'ミ=､」､: : : l: : l: : l
l: : :/ l/.: :l 辷り V b:::::::::://〉: : :ﾄ: : l: / 上品ね、わかったわ。
l: / l l: :l ､ ｀ 辷:::り/ /ﾍ: ::ハ: l/
(￣＼ V l:/: ､ ,､,､__ ． l:ハ: :ﾉ: ヽl
＼_ ｀‐､,‐ l/: : :｀>､_ `─ ' ,/:/: : l/: : :l`
(￣￣` ‐' ,/ , ＼ l: : : : //: :｀＞,‐-─,＜:´: :/: : : ﾊ: : : l
￣ ⊃ , ‐,｀ l＿ /: : : : :/- '´,-' l, ヽ: /: : : :ハ: : : :l
. ｒ ´, ‐､ ｨ l , ヽ l : : : :/ /＿ ／ ／: : : :く: : l: : : ヽ
.`‐´ フT ／／､ ／l: : : / / ＞´ ／: : : :／＝=ヽ: : : :ヽ
/ 冫' ／／,l / l: : ｲ / ／ ／: : : : ／彡彡＝l : : : : ヽ
193 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:48:14 ID:LoKQHtA6 [6/30]
ﾞ:､,,_ ,. : : ': :´: : : ｀: .､
,.:'' : : : : : : :｀: :､: : : : ヽ
_,／:i; : : : : : : : : : : : ＼: : : :ﾞ:,
,.-_;'": : : :.ﾞ､:､: :＼:_: :､: : : : : ヾ:､: :i
,.-' '"./: : .:i: : :i､ﾞ:､: : ヽ`丶`:､: : : ヾﾐ L_
/ .i. : : :l: :r{ ﾏﾍ :､: :ヽ_,,.ﾆ=ヵ:､: ﾞ:,:｢｀`＾i 着物はこれでいいかしら？
,':/.|: : : ::',: ::l ヽヽ ` :､ヽ∨Ｊ|ﾞ'j`:､:{. |
;/ !: :i; : :':,: ﾋｬ''ﾞＪﾄ､ ｀`ヾ-'．l:::::i` ﾉ
/ !: :ﾞ､: :::':,:ﾄ､ヾシ , , ,.ﾍ:::: i ＼､、
i: : lﾞ､:.:::ヾ!ﾞ:.、 ‐'´,／／ｌ:: : i､、 >: :｀:`:'':_:-. .,,_
ﾞ､:| ＼ﾄ:､ゞ￣｢￣fヽ</ λ: : ! ｀`丶:､:::::::::::...`ヾ::､丶､
ヽ ` ｀V::::i] ∧ ,′ j. l.: : ! ｀丶､;;;＞､::＞‐`‐…ｒ冖マ
Ｖ::ﾞ{' ,,ヽｉ l. ｉ: :.| ／ _,,-'' ,;;, ト ､,,_ヽ
ヾ:.ヽ l |,,'''V:j,, ／_,,-'' .;;;.''' ;;;: | |
/ヾ:ヽ.l |'' .;;ヾ,.=f'"''´ ;;;; ;;;; l |
i ＼ヽ _,.- ''"´ _,,}＼ l. |
| _ ﾞ､r'"` _,,..-''"´￣ﾞ､ ,,, l |
/'"／ ﾞ､,,.-''´ _,,.-'''ﾞ::､ ;;;'' ;;; l l
r' '" ,;;,ﾞ':、 _,.-''" ＼ '';;; ;; └!､
／ ;;;'' '',ﾞr'Τ ｺ:､ ＼
／ ::::'' .|, ,,l _,,-''´ ﾞ:、`::...、 ,:::,'''';;;,ﾍ
/ :;;; ;;;;: : :!'';;i. _,,-'' ﾞ:、 ｀ ';;; ;;;;. ﾍ
.,ィ{ ;;;' ,,:;;;: : : l;;'' i. ,,-'' ﾞ:、 ､ 〉
|ヒﾍ ''':;;;;:'' : : :└f" ,,'''';.;;;,. ﾞ、-‐ｧｲ: :`:t:-,､、＿,, - ''"
.ll Y!｀､ : : : : :l:､ :;;;:,, ;;;;' ﾞ:、〃.!: : :ハ:.i
ll ll ＼ : : : : | ﾍ;;;.,,,, ''''' '' ﾞ:.｛ !: : i ヾ{
У〉 `:､ : : : :l ﾍ ;;; i ヽ: {
ﾞゞ'Ｏ､ ヽ ;!. ﾍ i ｀`
i ＼ ＼ ′ ﾍ. i
.l ヽ ｀ ､ ,' ﾍ i､、
194 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:48:42 ID:LoKQHtA6 [7/30]
／￣￣＼
／ ヽ_ ＼
| （⌒ ）（⌒）
. | （__人__） 綺麗なもんだな。いや、実に美しい。
| ｀ ⌒´ﾉ 馬子にも衣装、羽毛が美しければその鳥も美しいとはよく言ったもんだ。
. | } とても浅草育ちの見世物娘とは思えないな。
. ヽ }
ヽ ノ
_,,,,ノﾍﾍ // ＼、
_,,..r''''": : :ﾍ::ﾍﾍ. //: : / ￣`''ｰ-､
/: : : : : : : : :ﾍ::ﾍﾍ//: : /: : : : : : : : : ヽ
ﾉ. : : : : : : : : : ﾍ::ﾍ/: : / : : : : : : : : : : : }
{ : : : : : : : : : : : ﾍ/: : /: : : : : : : : : : : : : i
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼ そんなに綺麗なんですか。こういう時、眼が見えねえってのは残念だ。
／ （─） （─） ＼ でも、これで客入りも一層良くなるでしょう。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
195 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:49:22 ID:LoKQHtA6 [8/30]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ― ヽ
／ （ ─） （ ─）' 百姓にゃ、武家のお嬢様の観音様なんざ一生かかっても拝めませんからね。
| （__人__） | 浅草の見世物小屋の娘でも、見目が良くて良いベベ着てりゃ、
＼ ｀ ⌒´ ,／ 武家のお嬢様に見えなくもねえ。
／ ー‐ ヽ
＿＿＿_
／─ ─ ＼
／（ ─）／)（─）＼
／::::::⌒／／／)⌒::::: ＼ そうなりゃ、テメエのカカアを質入れしてでも見に来ますよ。
| ／,.=ﾞ''"／ | 阿弥陀も銭で光るんだ、観音様も着飾ったほうがありがたみが増すってもんでしょう。
＼. i f ,.r='"-‐'つ ／
／ ｉ _,.-‐'~ ＼
i ,二ﾆ⊃
┌────────────────────────────────┐
│阿弥陀も銭で光る＝阿弥陀のご利益もお布施の金額次第で変わる事。 │
└────────────────────────────────┘
196 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:50:27 ID:LoKQHtA6 [9/30]
.. ＿＿＿_
／ ― -＼
. . ／ （─） （─）
／ （__人__） ＼ それじゃあ、旦那、お嬢ちゃんをつれて村を回ってきましょうか。
| ｀ ⌒´ | 私は下男、旦那はお嬢ちゃんのお供のお侍、お嬢ちゃんは没落した旗本の娘
. ＼ ／ これでいきましょうか。
. ノ ＼
／´ ヽ
／￣￣＼
／ ヽ､_ ＼
_ （⌒）（⌒ ) | 中々面白そうじゃないか。よし、わかった。
_ / / （__人___） |
,.-r／γつ' '､`ｰー′ |
ししiン'´ / | |
/ 7´ 丿 ! ､ .イ 'y､
ト ´ ｨ'´ `rﾆ=ｰ 7 / 〉-、_
} { ィ´ﾄ､ ／ ／ `ｰ- 、
| | ＜ / ﾉ､_,.-'／ ／ ヽ
| ｜ ノ/ / / ／ ／ ／ Λ
| ﾄr'´ / i ｲ / ／ }
| iﾉ-.､i i i/ / / ,'
Λ ﾊ i | / / ∠ /
| { / ,' ! i/ / _____イ ￣ヽ、 ｲ
'; ヾ / _i＿__｣＿'二ﾆ=-ﾔ´ ｀ヾ'､ |イ
197 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:51:03 ID:LoKQHtA6 [10/30]
,ィ／⌒
（:/ ／:i
ヽ,. : :'':":￣: : : !‐=‐z､、
／:,: : : : ; : j:!: : j. . ` 、
/: :/: : : :/_:/:li: : :ﾊ: i: :＼ :ヽ
:': /:,: : : 7:/ :l: :./ ´ヾ: : :.iﾞ:、`
l:/:ｲ: : _厶ュ !.:/ィzzl,i!: : :lヾ:、
j/::i: : :ｨぅし:l l/ ぅJ!ﾊ!: : i 私が旗本のお嬢様か、上手くできるかな。
r-<j :/:::l.`‐'' `''･l::!j: :,'
！ ｌハ::::i､,_ (`ｱ _,ノ::l ∨
ヽ ‐ｌ ::i｀ヾ､T千 |::: /
/ ／l ::i:､ / !`:! :/
∟/ ヾ:､V l /∧
/ｲ ∨ / / i.
/〈i - ‐ -ノ ＿'__ .i.
/: ::i. |￣ ￣| i
_,レｲ |==＝＝＝f !
｜_,/ | ＿_ | .i
./:./ ｢￣ ￣ﾞi. i
198 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:51:32 ID:LoKQHtA6 [11/30]
／￣￣＼
／ ノ ＼ ＼
| （●）（●） |
. | （__人__） | もっとも、眼の見えねえお前にはわからねえだろうが
| ｀ ⌒´ | 俺もちょっとした男ぶりでな。長屋の助六たぁ俺のことだ。
. | } もしかしたら、許婚か夫婦と見間違われるかもしれねえな。
. ヽ ノ
,ﾍ1、 /へ
_ -イ::::::::::,ﾍ ／／::::::｀ト- _
／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /::::::::::::/: : : : : : :＼
／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼
./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :
/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :
./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :
/: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : :
. /: : :/: : l: :/:: : : : :／::::::::／: : : : : : : : : :!ｷ!: : l: j1: i : :
/: : : :! : : l: :! : : :／::::::::／: :rｭ ､: : : : : : : !ｷ!: : !/1: :l:/
: : : : i! : : i: :!::／::::::::／ : : ::'-<:ｷ 、 : : : : !ｷ!:: :l: { : :j1:
: : : : :i: : : !: :Y:::::::／ : : : : : : : :＼ｷz、: : ::!ｷ!:: :!: :!: :ﾘ :
: : : : :l : : :! : :∨´: : : : : : : : : : : : :＼ｷz=,f＝}rz! :i: : l: :
: : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : : : : : : : : : : l:＼}! }l__j: : : j: : :! :
: : : : :l: : : !: : : : r──-------- ‐'下zｿ::::::::::::!1: : :!::
: : : : :＼,/: : : :/:, :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: }#!::,z≠! i : : i::
: : : : : : :j! : : :/:: :: `' ､_r-､___, -1,. :j#j '´: :: !: l: : :l::
┌───────────────────────────────────────────────┐
│助六＝歌舞伎の演目「助六」の主人公。苦みばしった二枚目で喧嘩も強ければ吉原中の花魁からもモテた。 .│
│江戸紫の鉢巻を頭に巻いているのが特徴で助六寿司の語源でもある。 │
└───────────────────────────────────────────────┘
199 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:52:15 ID:LoKQHtA6 [12/30]
.. ＿＿＿_
／ ― -＼
. . ／ （─） （─） ほう、旦那はそんなに良い男なんですか。
／ （__人__） ＼
| ｀ ⌒´ |
. ＼ ／
. ノ ＼
／´ ヽ
＿＿＿_
／_ノ ヽ、＼
／（ ─） （─）.＼ それじゃあ、ちょいとばかしお顔を触らせてもらいますよ。
／ （__人__） .＼
|ｎi 7 ｀ ⌒´ . |ｎ
l^l | | ｌ ,/) l^l.| | /）
', U ! ﾚ' / . . | U ﾚ'/／) すっ
{ 〈 ﾉ ／
..i, ."⊃ ｒニ /
."'""⌒´ `''""''''
200 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:52:49 ID:LoKQHtA6 [13/30]
, ｎ ／￣￣＼ .ｎ
. / / ｊ.´_ノ ヽ、 'l lヽ、 ））
/,ｲ / （●）（●） .ｌ i i i おいおい、いくら浪人とはいえ、あんまり武士の顔を触るもんじゃないぞ。
（（ 〈 .ｒ { （__人__） .i. } } 〉
', ｉ. ', ｀ ⌒´ / /
.i l. ,' ./ ペタペタ
. ヽ､_.ｲ、. 人 ﾉ
＿＿＿_
／_ノ ヽ、＼
／（ ─） （─）.＼ なんだか、助六ってよりも大根みたいですね。
／ （__人__） .＼ 今の役者はみんな大根みたいに顔が長いんですか？
|ｎi 7 ｀ ⌒´ . |ｎ 大根役者とは良く言いますが。
l^l | | ｌ ,/) l^l.| | /）
', U ! ﾚ' / . . | U ﾚ'/／)
{ 〈 ﾉ ／ ペタペタ
..i, ."⊃ ｒニ /
."'""⌒´ `''""''''
201 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:53:39 ID:LoKQHtA6 [14/30]
(ヽl_l_ll_l,l
ヽ ｒ
│ |
|／￣￣＼
／ ＼ ノ
| （ ●）（●）
. | ノ（ （__人__） ほっとけっ、この野郎っ！
| ⌒ ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
l/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒).
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼ 旦那のお顔の事はこれくらいにして、そろそろ出かけて見ますか。
／ （─） （─） ＼
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
202 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:54:11 ID:LoKQHtA6 [15/30]
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
203 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:54:40 ID:LoKQHtA6 [16/30]
,,,,_ .,,r'''~￣~ヽ,, ､､
,,, : _,､!'″ ﾞﾟ'''''''" ::::....:: ~''―--r- '″ ﾞﾟ'''''''"'⌒ ﾞﾟ'''''''"
,,rr'~丿⌒~｀ ,,,,, :::::......:::::: ,,,,, :::::......:::::: :::......:::::: ,,,,, :::::......::::::
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""ヽ,,、 ｀ ,,,,, :::::......:::::: ,,, _,,,,,_ ､､
,,,,,::::: ｀~ﾞﾞヽ,_ ''''″ ﾞ｀ﾞｒー'''ﾟﾟ~＾ ﾞ~ﾟ｀⌒'''''´´｀ ''''″ ﾞ｀ﾞｒー'''ﾟﾟ~＾ ﾞ~ﾟ｀⌒'''
,,,,, :::::...... ｀~~ﾞ ,,,,, :::::......:::::: ,,,,, :::::......:::: :::::......:::::: ,,,,, :::::......:::: :::::......:::::: ,::
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,r"ヾヾヾヾ | 一軒茶屋 |ヾヾヾヾヾヾヾヽ／.､;:...:,:.:.､.:,:.:..､;:..:::::i .､;:...:,:.:.､.:,:.:..､ヾ/ヾ/ヾ/ヾ/ヽヾ/ヾ/ヾ/ヾ/ヽ/
"'| lﾞﾞ""""""""""""""""""""""""":||~~~”||.､;:...:,:.:.､.:,:.:..､:::::i i;:;:.､;:...:,:.:.､.:,:.:./ ||ゞ ||ゞ.,.||ゞ .:||ゞ,,, ||ゞ ||ゞ.,.||ゞ .
| | |::::::::::::;;;;::;:;;;;:;:;;:::;;;;::;:;::::::::::::::: || /.､;:...:,:.:.､.:,:.:.:::::i i:;:.､;:...:,:.:.､.:,:.:./ :||;:ゞ ||;:ゞ:||;:ゞ ||ゞ;:;:||;:ゞ ||;:ゞ:||;:ゞ ||
| | ／￣￣￣ ／l ./￣￣￣￣/i || /.､;:...:,:.:.､._,:::::i i;:;:.､;:...:,:.:.､.:,:.:./ :|| || || ||;: ; :|| ||.. :|| ||;:
| | |￣￣￣￣|／ |:二二二二|/:::∥／.､;:..,,,;:;::;i'''ﾞ'' i;:;:.､;:...:,:.:.､.:,:.:..､'''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''';:...:,:.:.､.:,:.:.
"'"""'""ﾞ''~"'""""""ﾞ''~~'"'''"'"""ﾞ"""ﾞ''~'''ﾞ''"' i:;:;.､;:...:,:.:.､.:,:.:..､;:...:,:.:.､.:,:.:..､;:...:,:.:.､.:,:.:.
'''ﾞ''"'"""ﾞ''~'''ﾞ''"^r､.､;:...:,:.:.､.:,:.:..､;:...:,:.:.､.:,:.:.
"'""ﾞ''~"'"'""ﾞ''~"'
204 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:55:15 ID:LoKQHtA6 [17/30]
／||
／ |.|_
／￣＼| | ＼
/ 肉 ヽ
| ,―-､.,-‐､|
| （＿ ﾟ ｖ ﾟ _）
| ( ､,) | はい、いらっしゃい。
/＼ ／。＼/ .
/ / ＼__＼__／ヽ＿
/ : ＼'⌒'/
＿:＿ ￣＿＿
┌────────────────────────┐
│茶屋の店主が店先から顔を出して三人に挨拶する。 .│
└────────────────────────┘
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼ もし、団子と茶を三人前お願いします。
／ （─） （─） ＼ それと、ここらに古寺はありますか。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
205 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:57:02 ID:LoKQHtA6 [18/30]
|｜
ー |｜ー
／ ＼
／ 肉 ＼
| ＿＿__ ＿＿_ 、 |
｜ ヽ● ノ| |ヽ● ノ |
｜ / ヽ | 村のはずれに住職もいない荒れ寺がありますが、一体、何をしにいくんですか？
｜ (∩∩) | 見たところ、お武家様のお供のようですが。
｜ ／⌒＼ |
＼ ○ ／
| ＼ ＼ ＿ ／ ／|
__／| ￣ ￣ |＼__
＿＿＿
／ ＼
薬代を稼ごうと思いましてね。 ／⌒ ⌒ ＼
あ、私はお嬢様のお供で下男をしている ／（─ ） （─ ） ヽ
やる夫の市と申します。 | （__人__） |
見ての通りのメ○ラでございます。 ＼ ｀⌒ ´ ／
/ ＼
206 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:57:34 ID:LoKQHtA6 [19/30]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼
／ （─） （─） ＼ さあ、お嬢様、お疲れになったでしょう。
| （__人__） | 少しばかりお茶を飲みながら一休みしていきましょうか。
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
／ ／ ′ ＼ ヽ
. ／ ' | i ヽ
, ／ / ′ | ￤ ﾄ､ ＿__ |
,___ /／ / / ｉ ｜ ｌ |´ ＼ ｀ヽ ｉ l | はい
＾迂ﾀ {' / / ! | ｌ | ＼ ｌ ｌ l f７´（ r1
ミｘ. E7/辷冖⌒フ/ / l ,|'´| l | 丶. ! ! ! ｝ｰ-､ヽ,リ __
,刈}r弓{/ / ｌ/ | ｜∧ ｜ _＿ ヽ ￤ ! ! ,． 、 f苅ト､_,ノｲ仁疋
彡个辷{ ／〉 / i ∧｜ l/ ＼ ｜ 抖弄ミメ∧ ∧ l∨| {Y⌒} ｀才T⌒)∧V辷
≧宀爪|'∠. , ／l ｉ ∧! ＿ 丶 | ,, ,,’′∨ ∨ | `ﾆ才ｱ ,ニこ.X⌒Y ﾒ､
菲ミﾒ ノ人___ヽ{ 仕 | l /ヽ y抖芋 | ｉ |r乞ｋ }r‐ｧ宀ヒﾌ,ﾊ} ﾄ-､ ﾅ
千仕//辷ﾌ⌒Ｖ´￣｜ ∧ | / ∧′ ,,. _ | | |辷タﾉrヘ} （￣ｰヘﾉ｀7j_ ﾉ}ノ
^Y辷.ユ、{ ,ノ, ‐'⌒| ,′ﾍ}/ ′ ″ （_ ﾉ ｜ | |不 rくj ｛｀ヽ)辷'´ イノ ﾉrf
弋三ｭ.}^>くr'{Y´￣ﾍ {Ｔﾄ-l ′ 人 , ‐く ヽ｀ﾏ. イ | | |弓ミxﾍ、 `'┴ｰ--r'′ r午辻
rく`主彡くr'７⌒>---‐ヘタﾌ'| i ′ l｀ Ｔ７ ,、 } } } } |, ｌ l |,苹ミハ_｀ニー--'⌒ｱﾁ伍xY
＞-r‐{ ｛ 代＾辷タト､ 辷^Ｙ| ｌ ｌ l l { Y ノノＴ’ ／ , |辻タﾉ人_｝ ,．┬-く {_辷彡
ヽ辷}∧ { 弋⌒Y_ノ ﾊ-‐‐-| ｌ l ￤斗ﾍ ヽ | / / / ├冖たナ'才＾丁｢｀ヽ∨,．-‐
┴-r{ ｀T^ ､ `'ｰ-‐ｧ' /ﾄ､,ニl,．-ｌ ｌ ｌ{ } ﾉ′ / ___,.厶宀-､|辷j _,厶-‐ｧ冖ｰ-ﾍL，-‐
,二 {丶._,ト .__,二¨´ イ ∧,r弓ミx.lr宀<⌒X,_/ / / / , ‐ｭ．-┐. ヽrくr十く｀了ﾌＴ´｢｀)| 辷.ﾆ、
--‐ヘ.＿｀T ｰ---‐_'ノ 八辷ﾀ（_辷伍Y＾ ､｣ / / ｛了{ f辷'r‐１,ﾊ }｛_ヒ7了⌒ﾌ/,ﾆニ}ｋｰ-‐'＾
⌒ヽ-‐'7 イ>,二.´＿フr仕^Y{⌒ヽr宀ｧ' ,.ノ人_ / / ﾊトﾍ.ｰ-宀'´}ノ r'{X辷{ノ__,ノ７/ /,ﾄ､}辷彡
⌒ヽVl/ ,ノ {￣｀ヽ>-┴ヘ.｣丶._ └<¨´rヘ. く / / / ∧ ｀二¨´,ﾉ ﾉノ )Y´└-宀 イ{ } 广7冖
207 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:58:03 ID:LoKQHtA6 [20/30]
＿
∧ ヽ
/ ヽ ヽ─ヽ
/￣ 肉 ￣￣ヽ ＼
／ ━━ ━━ ＼ ＼／＼
/ （●） （●） ヽ | ほう、大変お美しいお嬢様ですね。
| （。。） | | 流石はお武家様のご息女、村の女とはやっぱりどこか違いますね。
| /⌒⌒⌒＼ | |
| | |⌒⌒| | .| /
| ＼── / | /
＼ ￣￣￣ ／ /
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼ はい、それはもう、国許では評判の美しさだったのでございますよ。
／ （─） （─） ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
208 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:58:31 ID:LoKQHtA6 [21/30]
.／￣￣＼
.／ _ノ ⊂_ ‐-' ＜ やはりこのような事は止めておきましょう。
| （ ―） λ ヽ お嬢様、お父上がこの事をお知りになられたら、嘆き悲しみますぞ。
| （__人） ヽ ', いくら薬代の為とはいえ、見も知らぬ男達に肌を晒すなどどは。
__,/二`'''‐､ ⌒ﾉ | |
／---::::::￣｀-.､ゝ ノ | |
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:⌒ヽ. ´_ノ | |
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／´:｀ヽ | |
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.;／.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ | |
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.＿ __ヽ-､,､_,∧ |
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.|''''''''"".:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ/´:.:.:.:`ﾞ､ /
∧
／/ ヽ＿
／￣￣ 肉 ＼
/ ＼
/ ／￣ ヽ /￣ ヽ ヽ
｜ （ о｀ｖ_ о） |
| 丶＿＿ ノ ヽ＿／ ｜
λ/| ∂ ノ | 何やら込み入った事情がおありのようで。
ヽ _ |ヽ ／￣￣￣ヽ /
＼＼ ＼ ￣￣_/ ／
＼ ー (￣￣ ）／
┌─────────────────────────────┐
│やらない夫の発した肌を晒すという言葉に茶屋の主が反応した。 .│
└─────────────────────────────┘
209 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:59:08 ID:LoKQHtA6 [22/30]
＿＿＿_
／― ― ＼
／（─） （─） ＼ はい、お嬢様の実のお母上、奥方様は労咳を患い、三年前に命を落としました。
／ （__人__） ＼ そして次はお父上、旦那様が労咳にかかってしまったのでございます。
| ｀ ⌒´ | お医者様の見立てではあと二年のお命だとか。
＼ ／
／ ＼
| ・ ・ ）
. | | / /
| | / / |
| | / / |
(YYYヾ Y (YYYヽ |
（_＿＿ノ-'-（'＿＿_）_ﾉ
210 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 17:59:42 ID:LoKQHtA6 [23/30]
／￣￣￣＼
／ ＼
/ ─ ─ ヽ 高麗人参を煎じた物を飲ませれば、命が助かるやもしれぬと言われましたが
| （─） （─） | 昨今の武家はみな札差に借金をし、内情は火の車、
＼ ∩（__人/777／ 高麗人参のような高価な薬などとても手を出せるわけもございません。
／ （丶＿//// ＼
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼ 吉原に身売りしようかとお嬢様が言い出した時、私は一計を案じて
／ （─） （─） ＼ 知らぬ男に操を許す代わりに人前で肌を晒して薬代を稼ぎましょうと申し出たのでございます。
| （__人__） |
./ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
211 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:00:07 ID:LoKQHtA6 [24/30]
／ |
/ | |
ｌ ／￣￣￣ ＼
|／ 肉 ＼
/ ＿ ヽ
Ⅵ イ ・ ｀┬ ・⌒}ｌ
| |＿＿ノ | ＿/| そのような事情がおありだったのですね。
| _ `ヽ |
| , ┴亠‐く |
ﾊ / ヽ|
/ ＼ | ￣￣ |イ^ヽ ＿
＼.l /| | |
＼＿＿＿／| | | |
212 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:00:32 ID:LoKQHtA6 [25/30]
／￣￣＼
ノし. u:_ノ｀ ,,＼.
/⌒` （ ◯）（Ｏ):
.:| j（ （__人__）
:| ＾ ､｀ ⌒´ﾉ: おい、やる夫っ、武家をなんと心得るかっ！
| u; ﾞ⌒}: よりによって、お嬢様に肌を見せて銭を稼げなどとっ！
ヽ ﾟ " }: 貴様ほどの恩知らずはみたことがないわっ！
ヽ :j ノ: ｉ |ｉ |
／⌒ ヽ | || | |
:: ／￣￣ヽ :: ＼ || |i
:: （｢ ｀rﾉ :: ＼ ||i
:: ヽ ノ :: ＼
ガタッ！ | | r ｢＼ ＼
| | | ﾉ ＼ ＼＿＿
ヽ＿ノ /||| l ＼_, ｀ヽ
|| ｉ / | ||| | (＿つ￣と_ノ)
|| || | | ||| |
213 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:01:07 ID:LoKQHtA6 [26/30]
,r:'´:￣:;二:ｭ､
/:γ´￣ `}:.:}
|;/,.､ j:;/
_,.-‐:─;=＝=‐:‐-|:.:｀:ｰ::-‐'::'ｰ::-.､__
'´￣＞:'´ .......:.:.:.:.:.::|:.:.:.:.:.:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ、
／ : : : : : : :/: : :.::|:.ｉ:.:.:.::::|:.:ｉ: : : : : : : : .....ﾍ
／:.:,ｨ': : :/: :.:/:.:.:.:.:/|::|:.:.:.::::|:.:|､:.:.:ヽ:; :.｀ヽ､::.:ﾊ
/::／ /:.:.:::ｉ.:.:..:ｉ::＼:/ |::|:.:.::::::|::| ヽ:;／::.:.:.::.:.:＼::}
|/ /:.:.:::::|.:.:.::|:.:.::/＼ |::|∨:.:::|:| ／＼::.:ﾊ::.ｉ:::.:.:ﾍ!
ｊ:.:.:.::::λ:.:.:|::;/＿__｀|:| ∨:.:|:!´_＿__ヽ:.|:.:ﾄ､::.:ﾊ 落ち着きなさい、やらない夫。
|:.:.::::/::|::.:.:|;ﾊﾏﾃ弐ｧ` ヽ､:| 'ﾃ弐ﾏ7ﾊ|::|､:V::.:| これもお父上の為でございます。
|:.::/|:::|:.:.:.:|::ﾊ､Vz::;| ` |z::;ﾘ,' ﾊ:::.:|ﾉ::|ﾍ:| 私が一時の恥を掻いてお父上の命が救われるのであれば
|:/ ヽ:|ヽ､:|::::ｊ "￣ ' ￣゛・{:::ヽ:|:::.:| これほど喜ばしい事はないのですよ。
´ |:`:::::ヽ、 ､_､_, ,.ィ:|:::.:|:`:.::|
|.:.::::|::ｉ::::;＞‐ｒ:;-‐r::;＜::::::|:|:::.:|:ｉ:::.:|
|:|.::::|::|ｲ {:" `:} ＼:|:!:::.:|:|::.:.| /´〉
|:.|.::::|:|､ |,.-‐-､| ,|:::.:.:|::|::.:| ﾉ /
ｊ;ﾊ::::|:|.､＼ | | ／ |:.:.::ﾊ:|::.:|（｀Y ,/＾ﾍ、
{ |:.::|ｊ::{＼＼.| |,／／}:|:.:.:| ,}::.:.| .〉 "{ / ,ハ
214 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:02:12 ID:LoKQHtA6 [27/30]
_,. -┬ ｆﾆト､
r'´ ､r | | ,.L |
| （_ノ j {. '､＼
| }‐イ-上 〉. ＼
| ﾉ´ /)ﾟo | ううっ、お嬢様……
i ｒ‐‐人__） .|
ヽ .ノ ｀ ⌒´ . |
i !, ﾉ
.', ヽ、 . /
＼ . ヽ、
＼ |.i
| . | |
／ ＼|
／| ／ ／￣ `ヽ. / ィ､, ヽ
/ ｌ ', ィ､/ ',
. /| | U ､_ノ |
/. | ＼ Ｌ.／ヽ |
| ＿＿ ＼__／ /U ｌ |
| ／ ＼ く ﾉ .| そうだったのですか、お父上の為に己の恥を我慢して……
| / ＿＿ ＼_)__ } ﾟo /
| V / ＼ ＼｀ソ /
| | | ＼ ＼ /
ヽ. ヽ ＼ 〉 | /
| ＼ ＼＿＿ノ レ1
＼ ＼ ／| |＼
215 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:02:44 ID:LoKQHtA6 [28/30]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼ このような事をお頼みするのも心苦しいのでございますが、
／ （─） （─） ＼ 村の男衆に今晩、古寺で催しを行う事を伝えて欲しいのでございます。
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
, - ､ __,- 、
, ｰ ､ /、 丁 ,.ノ_
, ｰ､f ｀l l |_,ｨ'´ ﾉ
|ヽ ｀〈l ﾄﾞ､ l _／_
, -、 ／ ｀ 、 ゝ ! ｀´rｩ- '´ j
__/ ｀ｭ >_/ 1_,/｀‐' ''" _...／
| r' ´
l ＿, -‐ '´厶_
ト-‐ｩ-‐' ＼ ィ´ ｀t┼
｀ゝ_| ! 」 ヽ / １
__＿」 |∧ ／ 勺
" !ヽﾍ _／ ﾞ;`
┌──────────────────────────┐
│そう言いながら、やる夫が店主の手にニ朱銀を握らせた。 │
│一両が一分金四枚、一分金が一朱銀四枚である。 .│
└──────────────────────────┘
216 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:03:20 ID:LoKQHtA6 [29/30]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （─） （─） ＼ これはほんの私からの気持ちです。
| （__人__） | 催しが終わったら、改めてお礼を差し上げます。
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
/ | ヽ
|＿_ |／ ￣＼ │
／ ＿ｌ＿ ＼| ／
/ ||_人_|| V
/ ||_人_|| V
ｌ ―:､」 {
| { ･| ゝ_ィ ･￣￣`ヽ わかりました。まかせてください。
| ゝ | | }
| ／ ヽ――‐ノ
／│ { ＿＿ン ∠
／ | / ￣￣ ＼ / / |
| | ゝニﾆフ | / / :|
八 | | ／／
/ ＼ /／／|
217 名前： ◆xQ.fVdR3.Q[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:04:02 ID:LoKQHtA6 [30/30]
第三話終了、書き溜めます。
218 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:05:13 ID:1OfAqRCk [2/2]
乙でした！この淡々と進んでいく物語が実に良い！
219 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:07:29 ID:YSFapG1A
乙ー
こなたも逞しいなー
220 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:07:51 ID:VeISb0qM
乙！
おもしれぇ
続き楽しみにしてます。
221 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:26:13 ID:bGo8Z7MA [2/2]
乙
222 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 18:37:24 ID:xQ4HHIuo
乙でした
みんな役者だねぇ
224 名前：名無しのやる夫だお[sage] 投稿日：2011/07/17(日) 19:01:59 ID:Nmorzx/s
乙
独特の渋みがあっていいね
元スレ
盲目外道やる夫──地獄の千両箱
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